洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】ドッペルゲンガーに会ったら数日のうちに死ぬんだって

    2024/04/12 09:00

  • ある晩、友達A(♀)から電話が来た。

    「ねえSさん(俺)、ドッペルゲンガーって知ってる?」「あー、なんか聞いたことあるよ。そんなタイトルの映画あったね」「もう一人の自分のことで、その人に会ったら数日のうちに死ぬんだって」何?と思ったけれど、Aは勝手に話を進めていった。

    「あたしね、最近へんな夢見るんだ。夜にね、知らない道を歩いている夢。

    歩いてると誰か追っかけてくるんだ。女の人だと思う。

    ヒールの音だったし…で、すぐ後ろまで来たところで振り返るんだけれど、何かスッゴイ怖いものが居た。でも、何だか覚えてない。

    凄い怖いんだけれど思い出せない。そんな夢を三度も見たんだよ」何かの暗示じゃないの?注意を怠るなとか…と返事をすると、「そうかもしれないけれど」と言ってAは話を続けた。

    「この前、H子が泊まりに来たんだけれど、その日も夢見た。それが三度目。

    朝起きてH子に夢の話したら、H子が変な顔してる。夜中にトイレに行ったら、鍵がかかってて中からあたしが返事したって。

    でも、ベッドに戻ったらあたし寝てるじゃん。寝ぼけたと思ってもう一度トイレに行ったら『まだ入ってるよー』って返事されたって…」「もしかしたら、もう一人のあたしがどっかに居て、そのせいで夢見てるとか思うんだけど…」正直、どう返答すればいいか迷った。

    「でも、何かに気をつけろってことだと思うよ」という内容を話して、後は取りとめもない会話で終わった。それから一月近く経って、Aからまた電話があった。

    ずいぶん沈んだ声だ。また夢を見たのか、と聞くと「違う」と言う。

    「昨日ね、会社の飲み会だったの。会社辞めるコがいて、久しぶりに2次会まで行った。

    その帰りね、ちょっと酔っ払ってて、うちの駅のひとつ前の○○駅で間違って降りちゃった。あり得なかったけど、いっか、酔いを覚ますために少し歩こうなんて思った…」Aは涙声になっていた。

    少しすると落ち着いたらしく、続きを話し始めた。「人通りもなくて、気がついたら、誰か後ろを付いてきてるの。

    チョッと振り返ってみると、スーツ姿の男の人が居たのよ。急に酔いが醒めちゃって、途端に怖くなって」「とにかく、誰か居るところに行かなきゃって思ってたら、200mくらい先、女の人が歩いてるのが見えたんだ。

    あの女性の近くまで行けば大丈夫って、早足で近づいたんだけれど」「…近付いてわかった。その女の人の服装、その日のあたしの服とおんなじ…髪型も。

    履いてるのも同じヒールだった!その場所あの夢でみた所なんだよ!!頭がガンガンして、訳分かんなくなって…そしたら女の人立ち止まっちゃった。立ち止まって、こっちを振り返ろうとしてる…」「振り向くな、こっち振り向くなって思って、目をつぶったんだけど…顔ちょっとだけ見えた…そしたら『ギャーーーーーーッ!!』って、女の人の悲鳴が聞こえて…しばらくして気が付いたら周りには誰も居なかったんだよね。

    男の人も、その女の人も…」俄かに信じられない内容だった。けれど、一月前の電話のときの話…「振り返った女の顔は、Aの顔だったの?」と思わず聞いてみた。

    でも、「電話切るね」と言われて、それっきり。その後、随分のあいだ音沙汰がなかったけれど、つい先日街中でAと出会うことができた。

    なんとなく、昔の雰囲気と変わったなぁと思いながら世間話をした。機会を伺って、あの時のことを聞いてみた。

    するとアッサリと「女の人の顔?ちょっとしか見えなかったけれど、あたしの顔だったよ」と答えてくれた。明るいトーンでAは、最後にこう付け加えてくれた。

    「でね、ほら、ドッペルゲンガーの話したじゃん。あの女の人、あたしを見たから死んだんだと思うのよね」