中学生の頃、自分の部屋のベッドで寝ていたらいきなりドアがパタンと開いた。
ん?と思いそちらに寝ぼけ眼を向けると和服姿の女の子がそこに立っていた。無表情で。
状況が理解できずボーッとしているとその子はズカズカと部屋の中に入り、さも当然のように自分の布団に潜り込んできた。狭いシングルベッドの中、その子は無表情なまま自分のすぐ横にいた。
怖いというより正直ビックリしていた。声を出そうにも出なかった。
体も横にしたまま動かなくなっていた。いつの間にか金縛りにかかっていた。
目の前に女の子の顔がある。でもその子はこちらを見ていなかった。
ただ、天井を見つめていた。まばたきもせず、ただ一点から視線は動かなかった。
本当に、まばたきは一度もしていなかったように思う。同じ布団に入っていたのはほんの数分(に感じた。
)その子は来た時と同じように、いきなり布団から出るとこちらを振り向く事もなくスタスタと部屋を出て行った。ドアを開けっ放しのまま。
今でもあれは一体何だったのかサッパリ分からない。