今はもう高架になっちゃったけど、小田急線梅丘駅の近くの踏み切りでの実話。
昔配達のバイトしてた時、車でそこを通ろうとしたら目の前で遮断機が下りてしまった。そこは一度閉まると夕方とかなかなか開かないんだよね。
2本くらい電車が通り過ぎたあと、ふと見ると向こう側で高校生くらいの女の子がにこにこしながら誰かに手を振ってる。その踏み切りは車はよく通るが人はあまり通らないんで、こっち側で待っているのは自転車に乗ったおっさんしかいなかった。
一瞬俺に手を振ってるのかな、なんてドキッとしてたら、自転車のおっさんが突然遮断機のバーを持ち上げて踏み切りを強行突破した。えっと思う間もなく次の瞬間おっさんは自転車ごと急行電車に跳ね飛ばされて目の前から消えてしまった目の前では急行電車が止まったままだし、後ろにはかなりの渋滞ができてたんでそこからすぐに抜け出せずに呆然としてたら警察がやってきて目撃者ということで話を聞きたいと言われた。
見たままを説明して俺は仕事の途中だったんで仕事に戻ったんだけどしばらくブルーだったね。唯一ラッキーだったのはおっさんは向こう側に跳ね飛ばされたんで車から降りても死体はほとんど見えなかった。
電車の車輪の間から何となく変なものは見えてたけど。次の日警察から電話がきて警察署に来て欲しいと言われ、しょうがないからバイト休んで北沢警察署行った。
俺は向こう側で手を振っていたのはおっさんの娘だと思っていたんで、娘さんが可愛そうですね、目の前でお父さんが死んじゃって、って刑事さんに言ったら、刑事さん曰く、おっさんには娘はいないって。その女の子も事故後には現場にいなかったらしく、誰だかわからないらしい。
まあ、状況的におっさんの過失による事故は間違いないんであまり気にしてなさそうだった。最後に協力のお礼として警察から5,000円もらった。
別にそんなに怖い話じゃないんだけど、その女の子が誰だったんだか今でも不思議。踏み切りに入るときおっさんの横顔が嬉しそうだったから知り合いだと思うんだけどなー。