これは私の兄からむかし聞いた話なんですが。
ある女の子達3人が夏の長期休暇を利用して旅行に行ったんです。その旅行先、宿泊した宿の女将さんが、なにやら意味深なことを云ったんです。
「部屋の窓には気を付けて下さい。間違っても身体を乗り出したり、腰掛けてあしを出したりしないで下さいね」…と。
女将さんの顔が真剣だったから3人は何も云わずただ頷いて。だけどそこに泊まって3日目の夜。
その日は花火大会が催されてて。初日に聞いた注意なんて、もう覚えておらず、窓から花火が見えると云うこともあって一人は身体を乗り出し、二人は窓枠に腰掛けてそれをみていて。
花火大会も漸く終わり、しかし三人はおしゃべりに夢中になっていて。窓から身体や、足を出したまま、時刻は深夜一時を回って。
そのとき、不意に一人が小さく悲鳴をあげ、云ったんです。「足下に何か生暖かいものがいる」と。
それに驚いて三人が下を見るとそこには血塗れの老婆の頭が。そしてその頭が180度回転すると本来あるはずのない、老夫の顔がこちらを見つめ、気味の悪い薄笑いを浮かべていて…。