僕の体験した出来事です。
場所は航空自衛隊・K牧基地の学生隊舎。時はC華航空機事故のあった年です。
僕の居住区は3階の一番東側、体育館のすぐそばでした。隊舎には陸・海・空の航空関係の職種の学生がいて、夜ともなるとみなで酒盛りなどで盛り上がり当直の仕官に叱られることもよくありました。
その日もかなりの盛り上がりようで、皆楽しくとりとめのないことで激論を戦わせていました。でも僕は昼間の訓練の疲れのせいか眠気がしてきたので、自分の部屋ではなく通路を隔てた向かいの部屋で眠る事にしました。
ベッドに入り数秒で意識はなくなったのですが、ふと、ある違和感のせいで目が覚めてしまいました。突然の覚醒に何が違和感なのか一瞬わからなかったのですが、かなり酔っていた意識も冷水をかけられたようにはっきりしたのです。
それは、僕の足に上に乗っている男の生首でした。顎を足にかけているのではなく、首だけが僕の足の上に乗っているのです。
僕は心の中で「どっかいけ、どっかいけっ!」と無我夢中で念じました。どれくらい時がたったのか定かではないですが、気が付くと足の上の首の重さは無くなっていて外もかなり明るくなっていました。
というようなことがあったなあ、とその後職場の先輩に話すと、「俺もその部屋で天井に張り付いてこっちをにらむジジイをみたことあるなあ」と話していました。(まだあの隊舎あるのかしら?)ちなみに向かいの体育館に中K航空事故の遺体が収容され、1週間ほど肉の焼ける嫌な臭いがしていました。