あたしの父の部下で、Dさんという方がいます。
地方から出てきたばっかりで、若干なまりも残る純朴な青年だそうです。そんなDさんがある日、真っ青な顔で出勤してきたそうです。
あまりにも具合が悪そうなので、父はDさんに体調が悪いのか、とたずねたそうです。するとDさんは「信じてくれますか?」と何度も繰り返した後に、こう話したそうです。
Dさんの住むマンションは比較的新しい、まあまあ綺麗なワンルーム。引っ越しの片付けも終わり、いつもの様に本棚の下に布団をしきました。
本棚の隣にはテレビ台とテレビがあり、本棚と台には隙間があったそうです。Dさんはちょうどその隙間に頭がくる様な姿勢で眠りにつきました。
夜中にふっと目を覚ますと、部屋中の空気が薄くなっていたそうです。あまり気にせずDさんが眠ろうとすると、小さな声で・・・・聞こえるうう?・・・聞こえるううう?という女の人の声が聞こえてきたそうです。
Dさんは必死で聞こえないふりをして、寝返りをうちました。すると、本棚とテレビ台の隙間から、女の人がDさんをじっと見つめていたそうです。
それから朝まで、片足の女の子が部屋中を走り回ったり、窓から黒こげの人が覗いていたりで、一睡もできなかったそうです。まだ大家さんになにかあったのかを聞いてはいないそうですが、盛り塩だけしてホテルで暮らすDさんは、今でもあまり体調がよさそうではありません・・・・