これは僕が10年以上も前に一人暮らしをしていたときに体験した出来事です。
8月のむし暑い夜のことでした。この日、珍しくまだ夜更けに目が覚めてしまいました。
気付けば背中は汗びっしょりで気持ち悪かったので風呂にはいることにしました。風呂をぬるま湯程度にして、雑誌を読みながら入浴しました。
15分ぐらいでしょうか、少し上せてきたので出ることにしました。そして、浴槽から立ち上がろうとしたとき、何かが足に絡み付いていることに気が付きました。
見てみるとなんと、長くて黒い女の髪の毛が絡み付いていたのです。しかもおびただしい数の。
僕はびっくりして、つい声にだしてしまいました。怖くなり、出ようと風呂場の戸に手を掛けた瞬間、戸の向こうに少女らしき顔がへばりつきました。
僕は恐怖のあまり、声も出せませんでした。再び浴槽につかり、顔をふせて停止しました。
気が付けば朝になっており、髪の毛や少女もいなくなっていました。この事を母にはなすと、こう言いました。
…実はあなたには4つ上のお姉さんがいたの。でもあなたが産まれた年の夏に海で溺死したの。
いままで隠しててごめんなさい。ほんとにあの少女が姉かどうかわかりませんが、この体験をした日は丁度、姉の命日だったらしいです。