これは先日彼女をバイクで送った時の話だ。
本当に恐ろしくて、考えるのも嫌だが書くとしよう…。その日は彼女のバイトが夜の0時に終わった。
人気のない道を彼女を後ろにのせ、走っていた。深夜だが、小さな街灯はあり、見渡しはいい。
とある踏み切りを通り過ぎたときだ。彼女が後ろで何度も振り返っているのがわかった。
どうしたんだと思いながらも、彼女の家はもう見えてるので俺はあえて何も聞かなかった。彼女の家につき、家の前で彼女を降ろすと、彼女は不思議そうな顔をしている。
『どないした?』『うん…さっき踏み切りにいた女の人、こんなに寒いのに薄着で、なんか気味が悪かったよね…』俺はぞっとしたね。あの見通しがいい踏み切りに人を見落とすわけがない。
しかも…その踏み切りはつい二日前に事故があったばかりだ。聞いた話では、貧血で倒れてそのままホームから転落したとか…。
俺は恐ろしくて帰りは別の道をとおり、無事帰路についた。…だが、恐怖はそれだけではとどまらなかった。
家につき、真っ暗な玄関に灯りを付ける。一人暮らしの俺は先ほど聞いた話が頭を離れず、心細さが増していく。
『まぁ、俺がみたわけやないしなぁ…』と、なんとか自分に言い聞かせながら寝る前にトイレに行こうと思った。なんとなく便意もあり、便座に腰をおろして用を足しながらやはり頭に浮かぶのは先ほどのこと。
一体なんで彼女に…?コンコン『入ってるぅ~』何気なく俺は答えたが、ハッとした。なんで一人暮らしの家のトイレでノックが聞こえるんだ?みるみるうちに恐怖が俺を縮み上がらせた。
一体…一体なにが…!ドカドカドカドカドカドカ!!!!ドアが壊れそうなくらいに叩かれる。『ぎゃぁぁぁ!!』俺は頭を抱えながら叫んだ。
すると、ドアのむこうから声がかすかに聞こえる。『嫌だぁ…ぁ…嫌だ…痛いぃぃ…寒い…ぃ…』それを聞いた瞬間、俺はあいつだ!!と思ったと同時に意識を手放した。
翌日になり、気が付いたがあいつがいるような気がして、なかなか外に出られなかった。それ以降は何も起こっていない。