洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】お前の影

    2025/03/29 09:00

  • 学生の頃の話。

    私は、原付で夜道を走っていた。田舎なので外灯は少なく、両脇は田んぼなので真っ暗。

    ふと、道の端にある大きめのゴミ袋の様なものが、ヘッドライトに照らされた。気になったが、そのまま素通りした。

    すると、丁度横を通り過ぎようとした瞬間、ゴミ袋だと思っていたものが立ち、私を追いかけて来た。黒い着物を着た人間の様だったが、頭だけが赤黒く目鼻口は見当たらない。

    そいつは、かなり足が速く、距離を保って逃げるのが精一杯だった。逃げている内に、追って来るそいつの頭がドンドン膨らんでいるのに気付く。

    前方に民家が見え始めた頃には、膨らみ過ぎて原付のミラーにも映り切らない。一瞬後ろを振り向くと、そいつの頭は私をスッポリ覆うほどに巨大化していた。

    それでも速度は衰えず、普通に走って来る。私が田んぼの道を抜けると、そいつはピタリと追うのを止めた。

    振り向くと、忽然と消えている。帰宅した私は、この話を曽祖母にだけ話した。

    「そりゃ、お前の影だよ。お前に取って代わるつもりだったんだな。

    」曾祖母にまじないを教わってから、もう「影」には会っていない。