洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】ノイズの唇

    2025/03/11 09:00

  • 俺のばあちゃんの家はかなりの田舎にある。

    というか、島。家から港まで車で6時間、そこから船で2時間かけないと行けない。

    それでも、小学生のときとかは楽しみだった。今ではただ遠いとしか感じなくなってしまったけど、夏と冬、1年に2回は行く。

    向こうには、2つ年上のイトコの姉ちゃんがいて、よく2人で遊んでた。姉ちゃんは泥汚れとか全然気にせずに、森の中で遊んだり川に入ったりと、俺の面倒を見てくれていた。

    大体、向こうには一週間ぐらい居た。そんで、なぜかは忘れたけど、その日は一人で遊んでた。

    今でも何でその日だけ一人だったのかは覚えていない。まあいろいろ一人で何かして遊んでたと思う。

    やがて夕方になり、日も落ちかけてくると周りはとても暗くなる。そろそろ遊ぶのをやめて帰ろうと思ったら、小橋の近くにある電灯の下に姉ちゃんが居た。

    後ろを向いて立ってて、電灯にもたれ掛かる様な感じで。姉ちゃん迎えに来てくれたんだ~、と思って近づくと、そいつが振り向いた。

    そいつのあまりの不気味さに足が一瞬で止まった。なんつーか・・・目、鼻、口は福笑いみたいな、とってつけたような薄いパーツで、皮膚が見たことも無いぐらいツルツルだった。

    姉ちゃんと似ていたのは髪形だけで、あとは化け物以外の何でもなかった。一番キモかったのは、唇。

    ぎゅっと固く結ばれた唇が、ノイズみたいに不規則に折れ曲がりながら動いていた。「MWMW」 ←分かりにくいけどこんな感じ。

    そこからは考えよりも体が先に動いて、猛ダッシュ。死に物狂いでばあちゃんの家まで走った。

    家に着くと姉ちゃんがのんきにスイカ食ってた。今さっきの事を話したら、「そんなん知らんww」「今日は隣の家の引っ越し手伝ってた」「お前だけサボりやがってww」みたいな事と言われてヘッドロックかけられた。

    まあ、そんなことはそれ一回だけだったけど、今でも姉ちゃんと会ったら聞いたりする。「あの日、本当にあの電柱の下には居なかった?」って。

    そのたびに「知らんww」って言われるけどね。だって、忘れようにも忘れられないんだよ・・・あのノイズの唇が特に。