俺が小学生の頃、
夏休みに田舎の爺ちゃんの家に従兄弟と泊まりに行った時の話。
爺ちゃんの家は凄い山奥の集落みたいな所にあって、
一週間くらい俺らはそこで川に泳ぎに行ったり、
セミ取りまくったりして夏休み満喫してたわけ。
で、爺ちゃんの家滞在最後の夜の事だったかな。
いつもどおり仏間に布団しいて俺と従兄弟、
合わせて3人で川の字みたいに並んで寝てた。
暑苦しいから全然寝付けず、
電気消したままゲームの話とか、
それこそ小学生特有の話で遅くまで盛り上がってたんだ。
一人の従兄弟が、いきなり喋らなくなって
怯えた顔で窓の方見始めたから、
俺らもなんだろうと思って窓の方見た。
窓の方見たら、
窓一面にデカイ物体が、
網戸越しにへばり付いてる。
最初は暗闇の中なので何なのかよく分からなかったが、
目が慣れてくるにしたがって、正体が見えてきた。
恐怖というより、
驚愕のせいで身動きがとれなくなった。
巨大な顔だった。
20代くらいの男の。
髪は変な髷を結っていて、
じーっと俺らの方を見てる。
その表情が段々と怒りに歪んできて、
なんか変な言葉を家が揺れるくらいの声で叫んだかと思うと、
地鳴りと共に窓から消えた。
もう俺も従兄弟もビックリして、
すぐに隣の部屋で寝てる爺ちゃんの所に駆け込んだ。
そしたら、
「おお、ヤマナリさんが来とったな。
また明日**に酒とか供えに行かないかん。」
とか落ち着いて言ってた。
次の日、顔があった窓の外見たら、
窓の周り広範囲にわたって草がなぎ倒されてた。
そこに巨大な何かが置かれてたみたいに。
叔父が迎えに来た時に、
「ヤマナリさんって何?」
って爺ちゃんと叔父に聞いたけど教えてくれなかった。
今も、盆とかに親戚で集まると、
従兄弟とその時の話題になる。
ちなみに爺ちゃんはもう亡くなっていて、
その時の事を聞けない
爺ちゃんの息子の叔父や親父も、
小さい頃からヤマナリさんについては、
爺ちゃんは何も教えてくれなかったらしい。