近所に、長い階段がある神社がある。
夜は、空気の温度のせいで音が遠くまで聞こえる。夜中、受験勉強をしていると、月に1、2回はカン、カン、カンと音が聞こえる。
丑の刻参りだ。その時僕は、あせっていた。
願書を出した大学に入れるかどうか。この音が憎かった。
親父のスパナを持って、長い階段を駆け上がった。高校生は元気である。
音のする方向へ近づくと、足を忍ばせた。映画で見た通りの格好をした女が釘を打っている。
頭を打つと即死するので、背中全体に力がいきわたるように、スパナでその女をたたいた。ぎょっとしてこちらを見るが、倒れた頭に2、3発けりを入れるとたいていすぐにぐったりとなった。
打ち付けてあるわら人形をスパナで抜き、手の甲に打ち付けた。4人ほど同じようにしたが、警察沙汰にはならなかった。
大学には合格した。