洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】花火発射

    2025/10/17 09:00

  • 以前、友達と二人で夜に海に出かけた。

    車で1.5時間ほど走り、
    途中で花火を買って、
    ずっとくだらないお喋りをしながら、
    行きははしゃいでいた。

    その海には、それまでも結構遊びに行っていたし、
    国道沿いでコンビニが近くにあり、遊泳もできる海岸なので、
    夜の海とは言っても怖いということはない。

    自分は一人でも星を見によく行っていたし。

    ところがその日は、
    花火を持って砂浜に降りていった時、
    異様な雰囲気に少しびびったんだ。

    なんか、それまでのテンションが一気に下がる感じ。

    別に荒れているとか、
    波が高いとかじゃない。


    その海岸だけ、闇が濃厚で重いんだ。

    でもそれは、明るい車道から、
    電灯のない砂浜に来たせいで
    目が暗さになれないからだろうと考えることにした。

    友達のほうも、
    砂浜に降りた途端に無口になっていた。

    いつもはすごいお喋りなのに。

    怖いのかな、と思ったけど、
    なんとなくなにも聞かずにいた。

    だって、その場で怖くなったら
    パニックになりそうな雰囲気だったから。

    その方が怖い。

    で、とりあえず買ってきた花火のパッケージを開けた。

    その時、なにか気配のようなものを感じて
    無意識に海の方を見た。

    すると、白い玉が浮いている。

    その玉は、直径1mくらいで、
    波打ち際から20mくらい奥の空中に浮いていた。

    質感は、霧を濃くして丸く固めた感じ。

    なぜか、アレを消せばいいと思い、
    なぜかロケット花火をその玉に向けてセットした。

    その時友達は無言で自分の後ろにいたと思う。

    ロケット花火を玉に撃ち込むと、
    玉は消えたんだ。

    へ~。って思った。

    そしたら、
    それまで無言だった友達が元気になり、
    なんか花火をやりだした。

    そしてその白い玉の事も忘れた。

    忘れたというか、消えたし、
    まぁいいか、的な逃避?

    で、花火がなくなり、
    なんとなく砂浜に座って話していた時、
    友達がとんでもない事を言い出した。

    「さっき白いワンピースを着た女の人いたよね?」

    とか言うんだ。

    そんな人どころか、
    他には誰もいなかったのに、だ。

    友達によると、
    海岸に降りた時に、
    ワンピースの女が右手に立っていたらしい。

    友達は、こんな時間に一人で、
    時代錯誤的な白いワンピースを着た女がいるのが
    気持ち悪かったらしい。

    当然自分も気づいていると思っていたそうだ。

    けど、そんな女はいなかった。

    その女は、
    自分がロケット花火を放った後、
    消えたそうだ。

    消えてから、
    それまで無言だったが素に戻り、
    普通に喋れるようになったらしい。

    てっきり、
    その女を追い払うために
    自分がロケット花火を撃ったと思ったとか。

    それは違う。

    そんな女はいなかった。

    いくらなんでも、
    近くに人がいたら気づかないわけない。
    と言っても友達は信じない。

    信じたら怖いからだろうね。

    だから白い玉の話をした。

    そんな不気味な女じゃなく、
    玉に向けて撃ったんだと。

    そしたら友達はギャーと叫んで、
    走って逃げた。

    おしまい