高校の頃の話。
俺の家からちょっと行った所に廃病院があったんだけど、俺と友人達でそこに肝試しに行こうって話になった。特にその廃病院に霊が出るとかって話はなかったんだけど、いかにも廃墟って感じでムード出てたし、誰も心霊スポットみたいなものを知らないこともあってそこへ行くことに。
メンバーは俺もいれて五人。夜に見てみるとその廃病院はかなり不気味で正直俺はビビってたんだけど、友人にビビりだと思われたくないしとりあえず入ってみることに。
皆でいろいろと探索してたんだけど、メンバーに霊感があるってやつもいないし特に何も起こらない。「なんだよ何もおこらねえじゃねーか」とか言いながら俺は安心してたんだけどね。
そんなこんなで最上階に到着。ここでも異常はなく帰ろうかと話し合ってる時に俺達は変な部屋を見つけた。
病室なんだけど、妙に新しい。病院が潰れたのは俺が生まれる前だというのに、その部屋だけはつい最近まで使われてたかのように新しい。
何か気持ち悪くなって皆無言でその場に突っ立ってると、何処からともなく足音が聞こえる。その足音はだんだんと大きくなっていく。
足音の主が俺達の元へと近づいてきている。そう理解した俺達は奇声をあげながら逃げ出した。
しかし、一人だけその場から動かないやつがいる。やばいと感じた俺達は慌ててそいつを引っ張って逃げたので、何とか皆逃げ出すことができた。
後で聞くとそいつは金縛りにあってて動けなかったらしい。数日後、友人の一人がもう一度あの場所へ行ってみないかと言い出した。
俺は当然行きたくなんかなかったけど、俺は仲間内じゃいつもでかい口たたいてたからビビってると思わせない為にも行くことに。ただしやっぱり友人も恐かったらしく行くのは昼ということになった。
今度は金縛りにあった奴ともう一人抜けてメンバーは三人。皆で病院内を探索、と言っても目的の部屋は分かっているので他の部屋には目もくれずその部屋へ。
しかし、そんな部屋は見つからなかったのだ。確かにそこに病室はあった。
ただその部屋も他の部屋と同じくボロボロで、あの夜見た妙に綺麗な病室とは思えない。当然周りの部屋も調べたし、別の階の部屋も全て調べた。
しかしやはりそんな部屋はない。皆言い知れぬ恐怖を感じながら探索は終了した。
あれから数年、俺が仕事で地方に行ってる間にその病院は取り壊されていた。あの病室と足音が何だったのかは結局分からないままである。