鏡です。
私の教室は廊下の突き当たりにあります。そしてその途中には三カ所鏡があり二つ目、つまり廊下の中程にある鏡は廊下の両側に設置され合わせ鏡になっています。
一昨年まで私の学校は警備員が放課後校舎を見回るという古いタイプの学校でした。部活が終わり六時半をまわった頃、私は部活の後輩にペンケースを取りに行って欲しいと頼まれました。
私の学校は教室棟と実験室などがある特別教室棟に分かれており、教室棟で活動している部は無いので明かりが全て消えていて確かに、良い雰囲気ではありません。頼んだ後輩が怪談の類が苦手なのを知っていた私は断り切れず、承諾しました。
そして、後輩の机からペンケースを回収し、昇降口で待っいる後輩のもとむかう途中、学年が上がると三階から一階へ教室のある階が変わってくるので一つ降りたその階は先程書きました私の学年の階です。私はそこで見回っていた警備員に出くわしました。
いえ、警備員の方は私に最初は気付いて居なかったので少しへんですね。とにかく、その人は廊下の合わせ鏡になってる所に懐中電灯をあて何かを食い入るように見ていて私に気付いていませんでした。
最初は鏡が割れているかなにかあるのだと思い見てみようと近づきました。しかし近づいてみても鏡に異常はありません。
それに警備員が私に気付かないのです。おかしいと思いましたが、もう外も暗かったですし、帰ろうとふり返った時、ようやく異常に気付きました。
合わせ鏡のもう一枚鏡、そこに映った警備員の背中から手が出ているのです。何者かの左手が。
私は硬直しました。すると鏡に映った警備員の肩越しにその何者かが顔をだしました。
その顔は映画のITのピエロだった様な白いお面をつけた様な、多分私が不気味と思うものならなんでも良いのでしょう。それは右手で私を指し笑い出しました。
我に返った私はふり返りましたがそこに映っていた顔はありません。私はそこから全力で走り昇降口に向かいました。
あああああ寒い寒い。手が動かない。
それから私は肩こりに悩まされています。取り憑かれでもしたのでしょうか?本当に肩が重い。
あ、ちなみに警備員さんのほうは、次の年からセコムされたので。どうなったか知りません。
興味もありません。ただあの鏡に映ったアレがこの肩こりの原因かと思うと、あの廊下はもう通れません。
まあ卒業したらもう通りたくても通れないんですけどね。