親戚のいとこの女の子が体験した話です。
仮にA子としておきます。当時も相変わらずの不況でなかなか就職口が見つからない中、就職活動であたふたしている友人達を尻目にA子は新年度が始まってすぐある商社の内定を取ることができました。
その親戚の子の家は大家族なのでA子は自分一人の部屋が持てず、早く働いて一人暮らしをしたい一心で人一倍まじめに大学生活を送っていたようです。そして翌年無事卒業し念願の一人暮らしを始めました。
とりあえずお金がないのでしばらくの間は自宅から通い初めての冬のボーナスが出る頃にはある程度の頭金になり引越し代も貯蓄でき年末に一人暮らしを始めました。そのアパートの近くの川では姉妹で迷子になって妹が川で溺れ死んだらしい事件があった場所なうえに木造の二階建てで築数十年も過ぎるような物件でしたが夢に見た一人暮らしだったのでA子は特に気にも留めませんでした年末は仕事が休みなので友人と飲みに出かけ、ほろ酔い気分で帰ってくるとついついコタツの中でうとうとしてしまいした。
深夜0時前頃でしょうかあいかわらずコタツに腕を付きうつらうつらとしているとなにやらだれかの叫ぶ声が聞こえてきたようです。「………○○ちゃん……○○ちゃん…○○ちゃん………」…あぁとなりの住人の部屋に知り合いでも来たのかと思いつつもいくら木造の古いアパートとはいえ音漏れが過ぎるなぁと思いつつもうつらうつらとしていると、また「………○○ちゃん……○○ちゃん…○○ちゃん………」とだれかのささやく声が聞こえてきました。
あれ?なんかおかしいなぁとA子は思いました。よく聞いてみると,外からではなく、障子をはさんだ向こうの部屋から聞こえています。
「………○○ちゃん……△○ちゃん…おねぇちゃん………」…!?気のせいかその声は小さい子供のような声だとA子は気づきました。どんどん自分の部屋に近づいてきているその呼び声に恐怖を感じたA子はコタツに手を置き顔をふせうずくませました。
呼び声はもうすでに自分のいる居間のコタツでうずくまっているA子の周りをヒタ…ヒタ…ヒタ…と歩くように聞こえています。A子は目をつぶりつつ心の中で「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏…」と必死に唱えました。
数十分がたったでしょうか…いつの間にかシーンと部屋は静まり返り、得体の知れないものは帰ったとA子は思いうずくまっていた顔を上げました。すると顔を上げた瞬間耳に息を吹きかけられたように感じた瞬間…「 そ ん な も の で 追 い 払 え た と 思 う な よ ! ! 」