俺が大学生だったころの話。
ある居酒屋でバイトしてたんだけど、仕事が終わるのは夜の11時過ぎだった。その日も11時過ぎに終わりさー帰ろうと思っていたらバイト仲間のA子とT夫が「近くの公園で花火しないか」と誘ってきた。
俺はその時疲れていたので早く帰りたかったが花火なんてもう何年もやってないしたまにはいいかなと思い承諾した。公園に着くとT夫の友人S吉とその彼女のN実が花火を購入し準備していた。
その公園は真夜中にきたのもあるけど少し寂しいとこだった。周りに家らしいものはないし、たくさんの木に囲まれている感じだった。
おまけにその公園の名前が書いてある大きな石がおいてあるけど墓石みたいで少し怖かった。そんな俺とは裏腹にみんなのテンションは高かった。
特にS吉は面白い奴でみんなを笑わせながら打ち上げ花火に火を付けていた。俺も仕事の疲れと公園の不気味さのことを忘れ楽しんだ。
それからしばらくしてチャポンと妙な音がした。何だろうと思い音のするほうをみるとゴミ捨て用の水を張ったバケツが倒れていた。
「誰だ倒したの」と俺がいうとA子が「きっと風で倒れたのよ」と、風は吹いてない全く無風だぞ・・そう思った瞬間何か嫌な予感がした。するとT夫「どうでもいいじゃん。
それよりK(俺のこと)何か面白い話しろ」俺「はっ?何で俺が・・」と言った瞬間N実「どうしたのS吉具合でも悪いの」見てみるとさっきまでテンションの高かったS吉が静かになっていた。S吉「そうじゃない、妙な事に気づいたんだ」俺「え?何」S吉「ここにいるのはみんなで5人だよな?」「そうだな、だから何?」とT夫がイライラしながら言うとS吉「花火つけるとさ明るくなるだろう?そしたら明るいとこに影ができるよな。
よく見たら影が6体見えるんだよ」全員「!!」「やめてよ!怖い話しないで!」A子がかなり怖がっていた。するとまたチャポンとバケツが倒れる音がした。
風は吹いてない。バケツの近くに誰もいない・・「誰だ!」T夫が倒れたバケツの方へ叫ぶが返事はない。
けれど耳を澄ますと何かブツブツ言ってる。「よしこうなったら・・」というとS吉がネズミ花火に火をつけバケツの方に投げるとそこは明るく照らされた。
勇気を振り絞ってそこを見ると子供がたっていた。その子供が普通でないことはすぐに分かった。
正確に言うと子供に見えたのは小学生ぐらいの背丈で顔は皺だらけで目が白く光った白髪の老人そのものだった・・・。そいつがこっちのほうをジーと見てくる。
そして何かブツブツ言っている・・。ねずみ花火がパン!と鳴った。
A子とN実の悲鳴が響き渡ると同時に俺達は一目散で車まで走った。そして大急ぎで車に乗り公園を後にした。
後日S吉と俺とで例の公園に行ってみた。昼間でもやはりとても寂しく薄暗い雰囲気はあった。
あの時放置した花火のゴミは綺麗に片付いてあった。ちゃんと管理されているようだ。
なぜか少しほっとした。S吉「本当は黙ってようと思ったけどさやっぱり話すよ」俺「え?なんだい?」S吉「あの時影が6つ見えたって言っただろう。
本当は6つどころかたくさんあったんだ」俺「!」S吉「車へ逃げた時とき振り向いたら無数の手が手招きしてたんだ・・」俺はまたその公園から逃げ出した。