よく、TV番組で霊とコンタクトをとっている霊能者がいるけどオイラはあれを見てすごく不思議に思っていたんだ・・。
だってオイラが出会うシュチエ-ションではオイラはいつもただの傍観者でさ、話しかけられたりとか追いかけられたりなんて事も一度もなかったし・・まるで流れる雲を見たり、突然現れる虹を見るようにそれはただの「現象」でしかなくて、何かをアプロ-チされたりコンタクトがとれるなんて事はなかったんだよね・・でも・・その晩は違っていたんだ。竿を持って座っていたらいきなりステ-ジが変わった、それもまるで周囲からの刺激に身体が反応するなんてレベルじゃあなくてオイラの身体そのものが一本の神経になったように・・・全身の毛の一本々々が立つのが解った。
「ウッワァ~、やっべ-!!」と思いながら、直ぐに竿をたたんでしまおうと思って視線を動かしたその瞬間、オイラから10m程離れた湖面にスッと動く姿が眼に入ったんだ。日本髪ではなかったけど時代を感じさせるような着物姿の女性・・オイラに見えるのは横からの姿で、女性は真っ直ぐ前を向いて水の上を滑るように進んでいた。
その姿のあまりにも生々しい存在感にオイラの思考回路がパニクッた・・「ん、ん~!」っとつい、あげそうになった悲鳴を押し殺したつもりがそれは唸るような声になって出てしまった。その時ありえない事がおこったんだ、オイラのその声が聞かれてしまった。
一度オイラの前を通り過ぎたソイツが・・・ 立ち止まってクルッと振り返ったんだ。「ア~!!!!!!」今度は本格的な悲鳴になった、全身の筋肉がいや全身が固まって一つの個体になってしまう程身体が固まった。
だけど本当の恐怖はその直後だったんだ・・オイラがあげた悲鳴と同時に、その着物姿のヤツが10数m離れた湖面から一瞬にしてオイラの目の前に移動して来たんだ・・鼻の頭同士がぶつかるような距離までせまって、宙に浮かぶような状態でオイラをジ~ッと見下ろされる・その恐怖。「アワワワ・・・・ワワ・・」オイラは顎がガクガク鳴って腰が抜けて・・その場にヘタリこんじまった。
そうしたら・・・今度はその「アワワワ・・・」というオイラの出した声に合わせたようにソイツはスウ-ッと、オイラから離れて行ったんだ。と同時に、場のステ-ジもスウ-ッ・・と軽くなった。
この時の経験で得た事なんっすが・・霊気を感じた瞬間はとにかく、息を止める事っすね。ほんでそこからゆっくり少しずつ息を吐いていくと、その場の空気が軽くなって行きますよ。
実際に見えているものがあればソヤツもス-ッと消えていく時もありやす。逆に「ヒエッ!」なんて悲鳴をあげながら息を吸い込んじゃうとお持ち帰りになっちゃったりします。
どうも人によってその瞬間に息を吸い込む人と、吐き出す人がいるようですがその違いは大きいでっせぇ。