洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】蛇神様の社へ奉納

    2024/09/29 18:00

  • 蛇神様が死ぬほど怖いんだ。

    かつて俺は、蛇神様の社で祈った。クラスのK、S、H、の3人の死を。

    俺を執拗に、脅し、殴り、蹴り、辱しめる、この3人の死を。蛇神様の社は、人が足を踏み入れない、荒れ果てた社だ。

    その社の狛犬は、両方とも首がない。稲荷神社と同様に、願を掛け、祈ればいい。

    ただし祈るのは深夜だけ。祈っている所を、人に見られてはいけない。

    そして、願望成就の暁には、やはり深夜に、犬の頭を奉納する。俺は深夜、K、S、H、の死を祈った。

    K、S、Hは、順当に死んでくれた。傷害、交通事故、火災、で。

    俺は野良犬を餌で手なづけ、ナタを頸部に叩き込んで、頭を落とした。死骸は埋めた。

    深夜、蛇神様の社へ犬の頭を奉納した。闇のなかで、蛇神様の喜びを感じた。

    俺はK、S、H、の3人から解放された。この喜びと感謝は、野良犬の頭一個くらいじゃ埋め合わせられない。

    さらに2匹の野良犬の首を刎ねた。犬が四肢を痙攣させて絶命するとき、俺の爪先から頭部にむかって、電撃のような喜びが駈け上がった。

    死骸は埋めた。深夜、ふたたび蛇神様の社へ犬の頭を奉納した。

    闇のなかで、蛇神様の強い喜びを感じた。俺はそれからも野良犬を殺し、その頭を奉納し続けた。

    闇のなか、凄まじい臭気のたちこめる蛇神様の社に、新たな犬の頭を奉納していると、社の壇上に女が立っていた。白装束に長い髪、細い眼、薄い唇、白い肌。

    ときおり薄い唇から、二つに割れた細く小さな舌が出入りする。俺はそれが、蛇神様だとわかった。

    蛇神様は、なにも言わずに俺を見ている。俺は理解した。

    もう犬は飽きたのだ。俺は子供を菓子で手なづけ、ナタを頸部に叩き込んで、頭を落とした。

    死骸は埋めた。深夜、蛇神様の社へ子供の頭を奉納した。

    闇のなかで、蛇神様の強い喜びを感じた。これまでに5人の子供の頭を奉納した。

    やがて発覚し、逮捕されるだろう。深夜、布団の中で眼を閉じると、闇の中に蛇神様が立っているのが見える。

    蛇神様は、俺が、俺自身を奉納するのを、舌なめずりをして待っている。