そいつは、
地元の有力者で最低なやつだった。
女と見ては片っ端から手を出して、
孕まして自殺に追い込んだりした。
そいつが20代の半ば過ぎに、
脳に腫瘍が出来た。
それもかなり大きくて
病院で精密な検査をしたそうだ。
その時、検査に当たった看護士や医者は目を疑った。
腫瘍の形がどう見ても
子宮でうずくまっている姿の赤子にしか見えなかったからだ。
まぁ、そういう偶然もあると彼らは思い
そのことは彼には伝えずに、
入院を経て摘出手術が始まった。
担当医が腫瘍を取ろうとすると、
その腫瘍は赤子のような、断末魔のように泣き出し、
むずむずと動いた。
尋常じゃない事態にその場はパニックに陥り、
繊細な手先を必要とする脳内腫瘍摘出手術はできるはずもなく。
手術は即刻中止となった。
その手術に関わったものは、
鬱状態になったり、病院を退職したりした。
当事者の彼は、腫瘍が動いたせいで
まわりの脳細胞を傷つかせ知的障害者となってしまった。