2年ほど前に体験した話です。
私は不思議な夢を見ていました。薄暗い林の中に私はたたずみ、目の前には赤い鳥居があります。
ふと気が付くと、腰に鈴をつけた赤い着物の少女が現れ、手招きをするのです。少女は鳥居の奥へと歩き出し、私も無意識のまま後をついて行きます。
しばらく歩くと目の前には赤い鳥居と白い鳥居が現れ、道は二手に分かれていました。すると突然少女はこちらを振り返り、「マユを探して…」と一言つぶやくとそのまま赤い鳥居へと歩いて行きました。
ここで私はなぜか赤い鳥居ではなく、白い鳥居を選んで歩き出すのです。そして、いつもここで夢から覚めるのです。
そしてこの夢を見るようになってから、普段の生活にも少女が現れるようになりました。学校や駅のホームなど場所は様々ですが、現れる時は決まって鈴の音が聞こえるのです。
特に悪さをするわけでもなく、悲しい瞳で私をじっと見つめているのです。そこで当時付き合っていた彼女に相談をすることにしました。
しかし、一部始終を聞き終えた彼女は突然泣き出してしまったのです。そしてたった一言呟きました、「ユイごめんね…」と。
しばらくして、落ち着きを取り戻した彼女に“ユイ”とは誰なのか聞いてみましたが、教えてくれませんでした。ただ、最後に彼女から二つの忠告を受けました。
「夢の中の赤と白の鳥居では必ず白い鳥居を選ぶこと」もう一つは「私とは別れたほうがいい」次の日から彼女とは全く連絡が取れなくなり、学校でも姿を見かけることはありませんでした。それと同時にあの夢も見ることはなくなり、少女が私の前に現れることはなくなりました。
しかし、いくつかの疑問がまだ残っています。〝マユ、ユイとは誰なのか?〟〝彼女の涙と白い鳥居を選ぶ理由〟結局いまだにこの疑問は解決されていません。