洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】逆さまの女の子

    2023/06/06 21:00

  • 俺は3ヶ月前。

    とある大型小売店のバイトの面接を受けに行った1週間後、採用の電話がかかってきた。明日から来て欲しいとのことだった。

    なかなかバイトが見つからなくて困っていたため、次の日俺は意気揚々とバイト先へ向かった。マネージャーに書類を渡し、大まかな仕事の内容を教えられて、俺は売り場へと向かったそして3時間後、仕事を終えて帰ろうとしたとき、たまたま同じとこで働いている友達の母親に声をかけられた。

    「駐車場行ったんだよね?大丈夫だった?」駐車場がどうしたというのだろう。何かあるのだろうか。

    「あ、行きましたよ。駐車場がどうかしたんですか?」すると、友達の母親は少し声を小さくして俺に話した。

    「あの駐車場ね。前に飛び降り自殺した人がいるから…気をつけてね」「はぁ…自殺ですか。

    気味悪いですね。気をつけます」気味の悪い話だ。

    自分のバイト先で自殺者した人がいるなんて。しかし何をどう気をつければよいのか。

    まぁ自殺した人がいたとしても俺には関係のない話だ。とりあえずその日は特に気にもせず家路についた。

    それから3ヶ月間、何事もなく俺はバイトをこなしていた。時折駐車場に行くと、誰もいないはずなのに視線を感じることはあったが、気のせいだと自分に言い聞かせていた。

    そして先月の中旬、彼氏にフラれたとかで立体駐車場の屋上から女の子が飛び降り自殺した。頭から落ちて即死だったらしい。

    おいおい冗談じゃない。俺の仕事場で死んでくれるな、と思いながらも俺はバイトに来ていた。

    女の子が飛び降りてから3日は何もなかった。しかし4日後。

    店の営業時間が終わり、最後に駐車場を見回りに行った俺は見てしまった。1階から3階までを見回り、最後に4階に行った。

    女の子が飛び降りた屋上の下だ。気味が悪いが、3日間何もなかった。

    気にすることはないと普段どおりに見回りをした。見回りを終えて帰ろうとしたとき、ふと外を見るとセーラー服を着た女の子が落ちていく。

    「…!!!」まさか自殺か。そう思い急いで4階から下を見た。

    しかし街灯に照らされた道路には何もない。気のせいだったのか。

    そうだ気のせいだ。そうに決まってる。

    無理矢理自分を納得させた俺は逃げるようにその場を去った。次の日はバイトが休みだったため少し安心していたが、窓の外を見ることができなかった。

    そしてまた次の日。いつものように俺が駐車場の見回りを終えて帰ろうとした。

    屋上までの見回りを終え、4階に下りてきたとき行きたくないのに何故か足が外の方に向かってしまう。あぁ、いやだなぁ。

    なんで歩いちまうんだ。そう思いながら俺はだんだん柵に近づいていく。

    そして、柵のすぐ内側まで来たとき、俺の目にとんでもないものが写った。逆さまの女の子の無表情な顔…俺は泣きそうになりながら走って逃げた。

    「冗談じゃない!また見ちまった!気のせいじゃなかったのか!」その日、俺は晩飯も食べずにすぐ布団に入った。明日もバイトだと思うと気が滅入る。

    しかしそんな理由でバイトを休めるわけもなく、仕方なく次の日もバイトに行った。外を見なければいいんだ。

    そう思い、俺は駐車場の見回りをしていた。しかし4階に来たとき、向きたくもない柵のほうを勝手に顔が向いてしまう。

    1歩も動けない。金縛り状態だ。

    目をつむろうと思っても瞼が閉じない。あぁ、嫌だ。

    見たくない。しかし視線を動かすこともできない俺はまたアレを見てしまう。

    無表情な女の子の顔…いや、無表情ではない。昨日よりも少し笑っているように見えた。

    それからというもの、俺はバイトに行く度、女の子が落ちていくのを見た。少しずつ持ち上がっていく唇の端。

    あの女の子が完全に笑ったとき、一体どうなるのだろう。そして先週の火曜日、女の子が飛び降りた曜日と同じだ。

    落ちていく女の子が完全に笑っていた。何があるかわからない。

    俺はすぐさま後ろを向き、走って逃げようとした、そのとき…「一緒に…」耳のすぐそばで声がした。気を失いそうになりながらも走った。

    もう嫌だ、辞めよう。そう思って無我夢中で走った。

    気が付くとロッカールームにいた。俺はすぐさまマネージャーに疲れて次の日授業に集中できない、と嘘をつきバイトを辞めた。

    しかし1週間経ってもあの笑った顔と耳に残ったあの声が忘れられない…