死んだ兄の話です
兄と私は非常に仲のよい兄妹で、
よく近所の空き地で基地ごっこなんかをして
遊んでいました
ある日…というか忘れもしない5/18の夕方、
いつものように空き地で遊んでたんですが、
私はトイレに行きたくなってしまい、
先に家に帰ったんです
母は買い物に出かけていたので、
家には誰もいませんでした
(その頃うちのあたりは近所付き合いもあり、
のどかだったので母は鍵を開けて
買い物に出かけていました)
すると、家の電話(まだ黒電話でした)が鳴りました
ところが、ベルの音がなんだかおかしいのです
リーンと一回鳴ってから5秒くらいして、
またリーンと鳴るのです
私はなんだか気味が悪いので、
電話に出ませんでした
電話は一分ぐらいしてから切れました
10分ぐらいして、また電話が鳴りました
また同じ鳴り方で私は少し怖くなりましたが、
母かもしれないと思い、思いきって電話に出ました
母ではなく、知らない男の人の声でした
やけに遠い電話でしたが、
が○○さん(私の名字です)ですかと聞いてきました
私がはいと答えると、
○○△△(兄の名前)が選ばれました、
と言われたのです
懸賞にでも当たったのかと思ったので、
ありがとうございますと答えると、
さようならという声の後電話が切れました
しばらくして母が帰ってきました
兄がなんか当てたらしいよ、
と話すとふーんという感じで聞いていました
早く兄が帰ってこないかなと思っていましたが、
兄はさっぱり帰ってきませんでした
真っ暗になりこれはおかしいということで
近所の人も一緒に探しましたが、
兄は見つかりませんでした
そして次の日、
兄は空き地の隣の用水路の中で
冷たくなって見つかりました
私は母に電話のことを話しました
兄を殺した犯人かもしれないと思ったのです
警察も来て電話局に問い合わせることになりました
ところが、その時間に電話などなかったというのです
記録のどこにもそんな電話はありませんでした
そして兄が足を滑らした後が見つかり、
事故だということになったのです
夢でも見ていたのかも知れません
でも、私はどうしても
あのリーンという電話のベルを
忘れることが出来ないのです