高校受験に落っこちて、しばらくふさぎこんでいた俺でしたが、「このままじゃ俺自殺するかも」と自分でも少し危なく感じ始めたので、何か楽器をすることにしました。
で、ドラムとエレキベースか悩んだ挙句、ベースを買うことにしました。基本的にインドア派だった俺は、家にいるときはだいたいベースの練習をしていました。
で、別に休日にどっか遊びに誘ってくれるほど親しい友達もいないので、しょっちゅう鏡の前で「こんなことだってできちゃうんだぜヘイヘイ」とベース弾きながら調子乗ってました。そんなある日、いつものように調子乗ってベースを弾きながら鏡の前を右へ左へ横切っていましたが、横切ったとき、鏡に何かが写っているのが見えました。
人間の形をした、黒い何かが。一瞬にして血の気が引きましたが、もう一度鏡を見ると何も写ってませんでした。
ところが確認し終えた瞬間に、ベースの弦がバチン!と切れて、腕にスパッと一線の傷ができました。それから俺はもう鏡の前でベースは弾いてません。
また同じようなことが起こると思うから。でも今でも部屋の窓ガラスが、鏡のように自分を写すたび、俺はびくびくしてます。