実体験なのでオチはないが、
今でもトラウマになっている出来事。
小学5年の時、
友達4人で隣村まで自転車で遊びにいくことにした。
で、出発したものの、
自転車で行くには遠い上に、登り下りが多く、
思ったよりかなり厳しい道。
疲れたころ、
隣村方向の脇道を見つけたため、
こっちを行けば近道ですぐ着く!と全員で入った。
その道は、
入口こそ自動車1台が通れる広さだったが、
まもなぐっと狭くなり、
進むほど森が深くなる感じ。
やっぱりこの道ちがうかも、戻ろう、
ということになって、来た道を引き返した。
ところが、来るときは気づかなかったのに、
道が二股に別れており、帰りがよく分からない。
たぶんこっち!と進んでいくと視界が開けて、
ちょっと広い原っぱのような所に出た。
道を間違えたことに気づき、
戻ろうと自転車の向きを変えていたとき、
原っぱの向こうに、人がたっていた
4人を、俺、A、B、Cとする。
最初に気づいたのはA。
木陰の方を凝視してポカンとしていたから、
皆がその方向を見た。
その人は灰色っぽい服で髪がボサボサで、
いやそんなことはどうでもいい。
はっきり顔が分かる。
結構離れているからよくわからないはずなのに見える、なぜ!?
そして!目が真っ黒!!!
眼球が黒いとか無いんじゃなくて、
目のあるべき場所だけ真っ暗なんだよおおおおお!!!!!!!!
逃げろ!
誰かの声で
みんな来た道を転げるように引き返した。
すると俺の後ろを走っていたAが叫んだ。
Cが転んだ!ついて来ねえ!
後ろを振り返ったら、確かにCがいない。
俺たちはさっきの二股別れ道のところで自転車を急停止して、
一刻も早くCが来ることを願った。
すると割と近くで、
まってえ、
と泣くCの声。
みんなで、
急げ、早く来い!
と震えながらも声をかけた。
Cが来たら全力ダッシュするつもりで、
帰り道に自転車を向けて逃げてきた道の方を見ていた。
その後に見た光景は、今も忘れられない。
Cは泣きながら自転車に乗って現れた。
あれ?何だ?と思ったが、すぐ理解した。
Cが、さっきの黒い目の人と同じ、
黒い目をしている!!!!
それに嗚咽してるのに
表情が笑ってるように見える。
同時にAとBがすごい悲鳴をあげて逃げた。
俺も続いて泣きながら逃げた。
後ろでCの泣き叫ぶ声が聞こえたが、
もう振り返る余裕は無かった。
Cを除く俺たちは、
泣きながら自然にばらばらとなり、
俺はそのまま家に帰り
母親の顔を見て号泣した。
そして必死に起こったことを説明すると、
母親は地元消防団に連絡してくれた。
消防団が動きだしたのは暗くなりはじめた頃だったが、
幸いCは無事発見された。
ただ発見時、
助けを求めるでもなく暗闇にぽつんと立つCに、
消防団の人は肝をつぶしたのだそうだ。
Cには途中から発見されるまで記憶がなかった。
その後もCは気が狂ったり自殺とかもなかったが、
ちょっと陰気になった気もする。
もうA、B、Cとはずいぶん前から疎遠だが、
いまのところ変な話は聞こえてこない。
ただ俺は、今でも山道に行くと動悸がして体が震えるし、
黒い目の人を夢に見て度々うなされてる。