うちの町内にある木造2階建アパートはK荘といい、
既に数年前から無人で
今では入口も厳重に封鎖されている
このK荘に最後まで住んでいたのは
弟の中学時代の同級生だったNという一家だった
この一家はひどく貧乏で出ていくあてがないため
立ち退きを促されても住み続けていたのだか、
ある時期から姿が見えなくなった
N一家がいつ出ていったのかは誰も知らないし
近所では急に消えたと言われてた
もともとN一家は
近所付き合いがほとんど無く、
特に父親は数々の奇行で有名で
この一家がいなくなっても誰も気にかけはしないのだが
以来K荘の入口には鍵がかけられ、
不動産屋の紙が貼られているのみだった
ところが無人になったはずのK荘から
夜になると人の声がするという噂が広まった
浮浪者でも住み着いたかと心配した町会が
管理の不動産屋に調査してもらったが
不動産屋の調べでは
『全て異常なく、全室の施錠を確認』
と報告してきた
(当時うちにも報告が回覧板で来ていた)
しかしK荘から叫び声や笑い声がするという噂は絶えなかった
ある日、俺がこのK荘に向かって
「おーい!」
と叫んでみた。
すると突然中から
「ウワーッハッハッハ~」
と周囲に響き渡るような哄笑が返って来た!
・・・男の声だ、
明らかに中に誰かいる!?
翌日弟と一緒にまたK荘に、
弟が同級生だったN家の長男の名前を喚んだら
またしても
「ワーッハッハッハ~」
狂ったような男の笑い声が!!!
さすがに怖くなったが、
声は二度とも一階の奥の方から聞こえたように感じた
弟が言うには一階の1番奥の部屋こそ
N一家がかつて住んでた部屋だという
閉鎖されてるK荘に
N一家がまだ住んでいるはずがないが、
一体だれの声なのか?
その半年ほど後、
K荘を管理している不動産屋の社員が
K荘の中で自殺するという異様な事件が発生した
俺と弟はこの件を直接は知らないのだけど、
結局この件は単なる自殺として片付けられ、
警察も数日で来なくなったそうだ
そのあとK荘の前には
バリケードのような物が作られて全く侵入不能になった
しかし、確かに聞いた笑い声、
事件にもなぜか沈黙した町会、
異常な厳重封鎖
不動産屋は詮索されたくない何かを
町会に因果を含めて隠蔽したのではなかいか?
俺と弟はあの笑い声の主をK荘のヌシと呼んでいるのだが、
アレが今でもK荘にいるとしたら、
N一家との関係はともかく、
それは人じゃないものなのかも知れない
マジでいっぺん警察に調査してほしいと思う