大学卒業する間際のころ。
田舎の親から電話があって、「おばあちゃんがお祓いをすると言って聞かない」といわれ、しかも「家族全員がそろわなきゃだめだといってどうしようもないのよ」とのこと。忙しい時期でしたが内定先の説明とかもあったので急遽帰省することにしました。
私は「またばあちゃんが変な宗教にひっかかんだろう」ぐらいにしか思ってませんでした。家に帰ると客間、実際は父親のオーディオルームと化してましたが、そこに神社などでみる大きい神棚が組まれていました。
ばあちゃんけっこうまじなんだなーとか思いつつ、居間にいくと真っ黒に日焼けした、小汚い服をきたちっちゃいおじいちゃんがいました。このおじいちゃんがお祓いをする先生とのこと。
おじいちゃんはにこにこしながら私を見て、「遠いところからすまないねえ。でもあなたがおったほうがうまくいくきよ」と言われました。
これがどういう意味か、お祓いが始まってすぐわかりました。神棚の前に、さっきのおじいちゃんが神主さんの格好で現れました。
私たち家族、父、母、祖母、私、弟の5人は神棚の前で正座させられています。手にはもらったお札を合掌の手に挟むように持たされています。
神主さんは私たちに目をつぶってお祈りするようにと言って、お経のようなものを読み上げ始めました。しばらくして、私はちょうど生理のような、お腹に重い痛みを覚えました。
目をつぶっていたのでわからないはずなんですが、背後になにか人の気配を感じました。お腹の痛みに耐えながら、しかし私の意識は少しづつ薄れて行きました。
かすかな意識のなかで私はものすごい悲しみを感じました。しばらくして気がつくと、家族全員が私の方を心配そうに見ていました。
私は、自分の目から鼻から涙のようなものが出ているのに驚きました。しかしなぜか力がはいりません。
脱力、放心状態でした。あとで家族に聞いた話によると私は神主に質問ぜめにされ、意味不明なわめき声を発してたらしいです。
神主さんの説明では、裏の森から私の家の前を流れる川に向かう、霊の通り道がある。その通り道に丁度私の家があったことから、この家に住み着いてしまう霊がいたとか。
それが私に乗り移り、霊を説得して、成仏させたということでした。お祓い(神主さんは祭りっていってましたが)がすんで、後片付けも全部神主さんとそのお付の人がやってくれました。
神主さんは帰り際、「あっちに戻ってなんか変なことがおこるようやったらここに電話してな」といって名詞のようなものを頂きました。それで、私が高校受験とかでお参りにいった神社の神主さんであるということがわかりました。
東京に戻った後、私は、他の人が見えないものを見てしまうようになってしまいました。霊感とかそういうものには話には聞くけど実際に自分が見えてしまうとはすごい驚きでした。
私は数日後、神主さんに電話をかけました。神主さんは笑いながら、「あーあなたはもともとそういう体質なんですよ。
今回のお祓いがキッカケで感覚が鋭くなってしまってるんでしょうねえ。でも大丈夫ですよ。
しばらくしたらまた前と同じに戻りますよ」言葉どおり、1~2ヶ月は頻繁にに霊がみえていました。しかし取り憑かれるようなことはありませんでした。
3ヶ月ぐらいみはそういう感覚は全くなくなっていました。