高校1年の夏、私は自宅の3階で寝ていました。
朝の10時頃だったと思います。足下のドア窓を開け放しで寝ていたので外の音もよく聞こえていました。
目を開け起きようとしたところ金縛りにあったらしく声も出ません。目だけキョロキョロと動かしていると錫杖とチリーンという鈴の音が聞こえました。
私の頭の中でデンデンデロロンと太鼓の音が響きはじめました。すると私の視線が勝手に窓の外に移りました。
そこには、茶色地に水色の花の模様が入ったワンピースを着た二十歳くらいの女性が立っていました。その女性はものすごく不自然な格好で頭を私の方へだらりと下げ揺れていました。
首は完全に折れ曲がり鼻が胸にくっつくような窮屈な体勢でした。私は背中と首筋がが熱くなり声を出そうとしましたが、ハゥーハゥーとかすれた唸り声をあげるのが精一杯でした。
そしてまた私の視線が勝手に移り女性の後ろから夏服を着た男子高生が現れました。その男子高生も首が深く折れ曲がっており、手首はブランと力ない感じで左腕を垂直に突きだし女性の後ろを横切っていきました。
私の咽はカラカラに渇き、首筋と背中に大量の汗を掻いていました。私はもう一度大声を出してみました。
今度は声が出て、ワァッ!という声で私は跳ね起きました。金縛りは解け外には何もなくなっていました。
それから私はこういった体験はしていませんが、家に泊まりに来る友人の多くは鈴や錫杖の音を聞いたり、足下に人の気配を感じたりするといっています。先日、心霊現象好きの友人が家に来た時に久しぶりにあの鈴の音を聞きました。
もうすぐ当時と同じ夏がやってきます。