洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】そんなわけないッ

    2023/10/01 09:00

  • 私の兄の話。

    私の兄は神奈川県の某老人病院で看護士をしている。その病院では、夜中に誰も乗ってないエレベーターが突然、動き出したり、など、いかにも病院らしい、芳ばしい話が、よくあるとの事。

    その兄が今迄で一番怖かった、という話。その日、兄は夜勤で、たまたま一人でナースステイションで、書類を書いていた時、ふと、視界のすみの廊下で、人影がふらふら、しているのが目に入った。

    その時、兄は、入院している患者が夜中に便所にでもいくのだろう、程度に思っていたらしい。だが、何時迄たっても、視界のすみで、その人影は廊下をふらふらとしている。

    ちらり、と目をやると、どうやら髪の長い、浴衣を着た若い女のようだ。きっと、昼間、寝てしまい、眠れなくなってしまったのだろうと、書類にまた目をもどしたその瞬間。

    「そんなわけないッ!!」と、咄嗟に頭の中で兄は考えた。この病院は老人専門の病院だ、若い女なんかが入院してるわけがない。

    同じ夜勤の看護婦ならナース服を着てるから一目でわかる。危篤の患者の家族だとしたら、自分のところにも連絡がきてるはずだ。

    第一、今晩、危篤の患者などいやしない。では、一体!?と、顔をあげたその目の前、鼻先がくっ付かんばかりに女の顔があった。

    長い髪、血の気のない無表情な顔、何も映っていない瞳。その瞳と目が合った瞬間、兄は、踵を返し、後ろを振り返る事なく一目散に他の階のナースステイションに駆け込んだ。

    怯え慌てふためいてる兄の様子を見て、その階の看護婦は、まだ何も言って無いのに、一言。「そのうち慣れるわよ。

    」其の時、兄は、女の方が、よっぽど肝がすわってる。と思ったそうだ。

    因に、病院と女の因果関係は、結局、解らずじまいだそうだ。