妖怪と思われる奴を見たことは有るのですが、怖い話ではないです。
見たのは四年ほど前です。その年の春に近所でかわいがっていた野良猫がしにました。
まだ、子猫の時に捨てられたらしく団地に迷い込んできたのを住人の何人かで世話をする感じでした。その猫が来て、だいたい七年後、猫はケガがもとで弱っていき、息を引き取りました。
息を引き取る前日、猫は突然姿を消しました。よくそんな話は聞きますが、それでも私を含む何人かは、猫を探しました。
すると、私達が心配しているのがわかったのか、フラフラになりながらも猫は帰ってきました。そして、翌日の朝。
猫は冷たくっていました。猫は死ぬ時、御山に行くといいます。
あの猫は御山に行こうとしたが、私達のもとで逝くことを選んだのでしょう。そう考えた私と近所のお婆さんとで、最寄りの御山とされる山へお参りにいきました。
山の麓の小さな社で手を合わせ、しばらく黙祷していると、後ろから猫の鳴き声がしました。ふり返ると異様に大きな猫が座っていました。
中型犬ほどだったと思います。その大猫はもう一度鳴くと山の中に駆け込んでいきました。
そのとき尾が二またにわかれているのがみえました。多分、あの大猫は普通の猫ではないと思います。