祖父の部屋にはお面があった。
観音様のような顔立ちで、ありがたそうな代物ではあったが額に、顔だけ貼りつけたような面で、私は好きになれなかった。ある日私は、一人で祖父の部屋で寝たのだが、そこで奇妙な体験をした。
お面は丁度、ベッドに横になると顔の真上にくる位置にあったのだが深夜遅くに、そのお面から水のような物が落ちてくるのだ。「お面から血!?」と、直感的に思ったがそんな、あるわけもない直感は見事にはずれる。
では何か?その正体を突き止めるべく、私は明かりをつけ、お面をのぞいた。何か動いてる。
お面をはずし、裏返してみると、大量の蛆虫が。後日、寺へ持って行くと、坊主はこう言った。
「これ呪われてますねー」軽いノリでね。あー、思い出した。
祖父の部屋には、祖母の遺影と共に、知らない赤ん坊の遺影もあった。白黒の写真だったので、相当昔のものだと思われるが私がまだ小さかった頃、祖父が「あの写真の裏に、虫が溜まっててなー」とか言っていた記憶がある。
そして、その写真は何時の間にかなくなっていたが絶対何かあったな。あの部屋。