俺の住んでる学生寮なんだが、昔、戦争の時に爆撃受けて何人も死んでる土地柄にあるのよ。
造り自体は何度も改装して新しいんだが。霊現象は結構ある。
たとえば寮母さんが階段の掃除していると、階段の一番上に幼稚園ぐらいのガキが座ってるんだと。『あら、どこの子?』と話し掛けると、とたんに消えたり。
各個人の部屋の扉、下が5㌢ぐらい開いてるんだが、夜中に廊下を血塗れの裸足でペタペタ歩く数人の足が見えたり。一番恐いのが妊婦の霊。
そいつは一番頻繁に出てきて、夜中に共同便所から赤ちゃんの泣き声がするのよ。当然『なんだなんだ?』って見に行くよね。
んで便所に行って個室とか見渡しても何も居ない。『空耳だったのかな?』って思って振り向くと、便所の入り口に全身ズブ濡れの女が赤ちゃんを抱いて立ってるの。
もぅ心臓飛び出るよ。その女は、そのまま向こうを向いて歩いていくんだ、壁の中を。
その事について寮母さんに聞いたんだけど、戦時中、爆撃を受けて、どこの病院も妊婦を受け入れる余裕無くて、その女の人は仕方なく便所(当時は普通の個室)で産むことになったんだって。それが不幸なことに死産して、そのショックで一週間後にその部屋で自殺したらしいんだ。
その話聞いてからは幽霊恐いけど、幽霊にも、そうなるまでの過程があるというか何というか。。
。複雑な気分。