これは私が友人から聞いた話です。
彼女が中学生だった頃のある日、母親と一緒に親戚の家を訪ねました。そこには二つ年上の従姉妹がいて、とても仲が良かったそうです。
彼女は従姉妹と会うのを楽しみにしていのですが、その日は部屋にこもって、なかなか顔を見せなかったそうです。しばらくして従姉妹が姿を現し、彼女に自分の部屋に来るよう手招きしました。
ちょっと深刻な様子だったそうです。部屋に入るなり、従姉妹は彼女にある封筒を渡しました。
そして、「これをしばらく預かってほしいの」唐突に言ったそうです。封筒には従姉妹が書いたらしい日付が記してあり、「再来年のこの日まで。
それまでは絶対に開けたりしないで・・・ただ、私に何か起こったら」従姉妹の真剣な表情に、彼女は不安を覚えました。封筒の中身と、預ける理由を知りたかったのですが、「いつか全部話すから、それまでは二人だけの秘密にして」と、逆にお願いされる形になり、彼女は押されて納得したと言います。
友人はしばらく気にかけていたそうですが、受験や高校入学などがあって、ほとんど忘れかけていたそうです。また、従姉妹も進学で他県へと離れ、なぜか一年近く会わずにいたある日、彼女は学校から帰るなり、母親から聞かされました。
従姉妹が心臓麻痺で亡くなったことを。友人はかなりのショックを受け、呆然自失のまま葬儀に立会いました。
そして、ようやく悲しみを実感する頃になって、あの封筒の事を思い出したそうです。不吉な予感は的中し、従姉妹が亡くなった日の日付が目に飛び込んできました。
彼女は震えながら封を開けると、そこから一枚の紙と、タロットカードらしきものが出てきたそうです。従姉妹が手書きしたと思われる紙には、ある占いの方法が書かれていたそうです。
カードを切るいくつかの手順と、その並べ方。本人の生年月日やその日の天候なども関係していて、少し複雑でしたが、それによって、ある年月日が導き出されるようでした。
つまり、その本人の死ぬ日です。友人が手にしたカードは、かなり古いものだったようです。
絵柄は動物や昆虫、植物などで、タロットとは違うとのことでした。私はそのカードをどうしたのか、彼女に訊くと「多分誰かに預けると思う。
ずっと先の事になるけど」と答えました。なんでも、そのカードは、託された人だけの予言をするそうです。