結構なつかしい思い出話なんだが。
夏休みになると、うちの大学の人ってだいたい地元に帰省するんだけど、あんまり金ないし、ってことで先輩に頼み込んでいっしょに車にのせていってもらってた。東北地方の大学なんだが、地元が東京(もしくは関東)って人が結構たくさんいて、大きいボックスカーもってる先輩は頼られてたみたい。
自分も含めて5人がいっしょにいくことになって、空いてるほうがいいよね、って夜に出発した。高速を延々と走ってったんだけど、トレーラーの転倒とかで通行止めになってる、っていう情報がラジオから流れたんで、一般道に降りることにしたんだ。
夜中のことだし、カーナビにしたがっていくんだけど、どんどん山奥の細い道になってくんだよね。で、カーナビにぎりぎり登録されるような山道を進んでていっしょに乗ってた人もかなり怖がってる。
なんてったて左も右も林で、何がでてくるかわからないんだよね。で、1時間くらい走って、あと30分で山からでられる、って時に目の前を人が横切った、と先輩はいってた。
半分眠りかけてた俺は、急ブレーキで気がついたんだけど。で、みんなで外を見るんだけど、どっちも林。
どうせタヌキとかイタチとかだ、ってことになったんだけど先輩は絶対人だ、って言い張る。とにかく山を降りよう、ってなるんだけど、ふと前を見てた人が叫んだんだよね。
「道、なくなってる」って。車の前何メートルもないところで、道がなくなって林になってた。
先輩のカーナビ、古いやつだから、道の自動更新とか山の中だとできないらしい。で、その山道は高速の開通にともなって閉鎖したんだって。
ほんとは入り口にチェーンがはってあるんだけど、そんときはなかったらしい。そんときは普通に怖かったよ。
カーナビのミス、ってことにはなったけど横切った人がいなかったら、事故ってたわけだし。数日後、昼間にそこいってみたら林の奥は無縁仏のお墓になってました。
助けてくれたのか、導いたのか。今でもガクガクブルブルです