洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】コートの女

    2025/05/02 21:00

  • 確か夏頃。

    当時住んでた西東京のH市で、1Kの安アパートに住んでた頃の話。その日はいつもどおりバイトから帰り、だらだらとテレビを見ながらメシ食って日付が変わるくらいには寝たと思う。

    次に意識を取り戻したのは夜中だった。物音がして、それで寝ぼけながらも起きてしまったんだ。

    木造の安アパートなんて壁も天井も薄いし、住んだ事あるやつなら判ると思うけど大げさじゃなく隣人の笑い声やら生活音がほとんど筒抜け状態だったし最初はそういう他人の出した物音だと思った。寝ぼけてたし。

    でもすぐに全身の毛が逆立った。明らかに俺の部屋のドア叩く音なんだもんすぐさまドアが開いて白いロングコートを着た女が部屋に入ってきたドアを叩かれた驚きから思考停止してた俺は女にビビるのに時間が掛かったなんとか大声を出そうとお腹に力を入れるんだけど肝心の声が出ないの。

    情けない事に。それでも搾り出すように思い切り力を込めた時信じられないスピードで女は部屋から出て行った。

    良かった、助かった、なんだったんだ、怖い色んな気持ちが頭の中をぐるぐる回って、ひとしきり放心した後…さっきの女、酔っ払って部屋を間違えただけか?という仮説に到達し、とたんに馬鹿らしくなり女に対する怒りさえこみ上げてきていた明日だってバイトだってのに…悪態をついてまた横になると今度は音もなく、玄関先に女が立ってるcんさlふじこrんヴぃえあ…!もう絶句。でも、今しがたの仮説で怒りもあったせいか、絶対に大声で威圧してやろうって気持ちになってた面白いもんで、それでも声が出ないのねなんとかしようと頑張ってると女がズームするみたいにスーっと近寄ってくる明らかに歩いてない、コート揺れてないし怖くて怖くてやっとかすれた声を出すことができたするとまるで壊れたビデオみたいに女の距離が少しだけまき戻ったでも結局それだけの話、すぐさまコッチに向かって滑り寄ってくる俺は馬鹿みたいにわー、わーって叫んでその度に少しずつ距離を戻す。

    でも徐々に戻り幅が減っていって近くなってきてるんだよ…そして目と鼻の先、俺の顔のド正面に女が迫った(余談だがそれだけ近づいているのに結局女の顔は真っ黒で表情が見えなかった)そこでついに渾身の大声を出し……俺は絶叫しながら布団から跳ね起きた全身寝汗びっしょり馬鹿らしいくらいにマンガみたいな寝覚めをしてしまったとヘコむ耳を澄ますと隣人が室内を歩く音とか聞こえてくる結局コートの女の姿だけ消えて、いつもと変わらない俺の部屋今度こそ本当に脱力して、倒れこむように布団に寝そべった疲れてるのにもちろんすぐに寝付けるわけないよ半泣きでため息ついて目を開けたとき俺の左側にコートの女が立って俺を見下ろしてる!ここに至って驚きとかじゃなくなる、もう勘弁してくださいって感じでうんざり?なんかガッカリするんだよ。でも不思議なことに襲ってこない。

    ただ見てるだけ。もちろんそれだけで怖いんだけど、さっきより何倍もマシだった結局女はいなくなっていた。

    落ち着いたあと勇気を振り絞って電気の紐に手を伸ばすと部屋の壁には、ところどころ黄ばんだ白いコートだけがかけられていた結局あれがなんだったのか判らず仕舞いです。コートはいまだに持っていて、春先にはたまに着たりしてます