高校の時の話高校の英語の授業の時間に、英語教師が「そう言えば知ってる?1組のA君の話なんだけど」と言って、A君にまつわる不思議な話を話し始めた。
A君は運動部に所属していて帰りが遅くなるので、いつもコンビニで何か買ってそして駐車場で部活仲間とそれを食べるのがいつものパターンだったのだが、ある日いつものように、コンビニの前にたむろしていると、コンビニの屋根の上からA君の頭に何かが降ってきた。それは白いゴルフボールだった。
何でゴルフボールが?とみな思ったがあまり気にせずその日はそれで終わった。またある日、いつものようにA君がコンビニの前にいると坂道の上から何かこっちへ転がってくるのが見えた。
やはりゴルフボールだった。またある日、A君は自転車通学の友達とそのゴルフボールの話をしながら帰っていた。
だが突然A君は話すのをやめて黙ってしまった。友達はどうしたんだろうと思って、ふと自転車のかごを見た。
かごの中にはあのゴルフボールが入っていた。三度もこういう事があって友達の中で噂になり、それを英語教師が聞いて、ということだった。
英語教師は「あいつはゴルフボールと因縁があるな」みたいな事をいっていたがおれはそういう事もあるだろうな位の感覚でその話を聞いていた。その話を聞いた数週間後、高校の体育祭が開かれた。
午前の競技が終わり、俺は飯を食ってテントで休んでいた。するとA君が友達数人とテントにやって来て、テントからはみ出るかどうかのギリギリの所で座って話し始めた。
俺からは2メートルぐらいの位置に座っていたので話の内容も聞こえてきた。どうやら例のゴルフボールの話をしているようだ。
それを聞いて教師の話を思い出した俺は、興味が出てA君達のはなしに加わった。ホントの話かどうか尋ねようとした時、突然テントのふちに何か重りが乗ったように膨らみが出来た。
そして次の瞬間ドサッという音と同時に何かが俺達の間に落ちてきた。それは砲丸投げの鉄の玉だった。
幸い誰にも当たらなかったが、みなこの異様な事に黙って何秒間かシーンとしていた。もちろん誰かの悪戯ではない、周りには人はいなかったし、テントを設営した時置いてあったものならばとっくに落ちているだろう。
まるで鉄の玉がいきなり空中に現れたとしか思えない光景だった。それ以来俺は、おそらくA君はそういう物を引き寄せる人なんだなと思っている。
でも、テントに膨らみが出来た瞬間はほんとにビックリした。説明のつかない事の例を見せてもらった。