洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】ミルキーの包装紙が散らばっていた

    2023/01/18 09:00

  • 私の実家は、戦後まもなく祖父が人から買ったもので、随分と古い家だった。

    普段は箪笥などが置いてある6畳間には広い押し入れがあり、ストーブや扇風機、客用の布団や衣装ケースなどが納められていた。幼い頃、悪さした時などは良くそこへ閉じ込められたものだった。

    最初の頃は、暗闇の恐怖と孤独感からか、私も本気で泣叫んでいたが、成長するにつれ暗闇にも慣れてくると、あらかじめ隠しておいたキャラメルやミルキーなどの菓子を食べながら、布団にもたれて寝てしまい、心配した母親が戸を開けるまで、眠りこけていることもしばしばだった。月日がたち、私や妹が進学のために家を出て、祖父祖母が老いてくると、古い家屋というものは何かと不便になってきた。

    そこで大規模な改築をすることになったのだが、その際に奇妙な事があった、と両親が言っていた。件の押し入れを大工が見てみると、奥の板壁と、その裏側に位置する廊下との間に、かなりの隙間があることが判った。

    早速、板壁を剥がしてみると、中から小さな空間が現れた。縦横200×30センチ位の広さ。

    四方は、どこにも出入り口はおろか、板の隙間すら殆ど無い。外界から完全に閉ざされたその部屋の床は、奇妙な事にピッタリと細長い畳が敷かれていた。

    恐らくは数十年の月日を経て、完全に変色した畳の上には、ミルキーの包装紙が散らばっていた。