私が妹とアパートで2人暮らししていたときの話です。
アパートの近くで交通事故があり、女の人が亡くなりました。その場所は駅の近くの線路沿い、通勤のために毎日通るところで、嫌だなとは思いましたが、そのまま行き帰り歩き続け、いつしか事故のことも忘れていました。
そんなある日の夜、帰りがけにそこを通りかかったとき、道端の電話ボックスの電話がいきなり鳴り出しました。一瞬でそこが死亡事故現場であることを思い出し、私はパニクりました。
もしその電話に出ていたら、途方もない恐怖を味わえたかもしれませんが、そのときは余裕なし。半泣きになりつつ走って逃げました。
アパートに着き、今あったことを妹に話しつつ着替えていると、タイミングよく家の電話が鳴りました。妹が受話器を取りましたが、すぐに切りました。
「無言電話だった」しばらくして、また電話がかかってきました。妹は「もう電話に出ない」と態度で表していたので、仕方なく恐る恐る受話器を取りました。
また無言電話。でもまったくの無音と言うわけではなく、よく聞き取れない雑音がしていました。
気味が悪く、すぐに切ろうとしたら、突然ガーッという雑音が次第に高まりながら聞こえました。私はその音に聞き覚えがあり、何の音かすぐにわかりました。
スピードを落とした電車の通り過ぎる音。駅が近い、線路沿いのあの場所でよく聞こえる音でした。
じゃあ、この電話をかけてきているのは・・・。私はたたきつけるように受話器を置き、頭から布団をかぶって朝まで震えていました。
言うまでもなく、翌日からは駅までの往復ルートを変え、それでも不安で父の中古車をもらい、車通勤にしました。