実際に体験した話を一つ。
俺には2つ年下の妹と、それと同い年の女のイトコ(仮にMとする)がいた。当時俺が19歳の予備校生だったから、妹とMは17歳だったはず。
Mの親は長男だったので、Mは祖母の家に住んでた。うちから祖母の家は電車で30分ほどで、妹とMは仲がよく、よく二人でナンパされに出かけていたらしい。
そして二人ともよくモテた。ある日、お盆で祖母の家に泊まりに行った。
親戚が結構集まったが、一階には親や叔父たちが、二階には俺とかイトコとかが寝ることになった。妹とMが一緒の部屋で、俺は別の部屋で他の男のイトコと同室で寝ることになった。
もう夜2時くらいだったので、親達や小さいイトコとかはみんな寝てた。俺はタバコがなくなり、妹にもらおうと思って妹が寝る部屋に行った。
ドアを開ける前から変なうなり声がしてたから、ノックして「何してんの?」ってドアを開けた。ドアを開けると明かりがついていて、Mが妹に馬乗りになって首をしめていた。
だが、Mは隣の布団に寝ていた。Mが二人いた。
意味がわからなかった。俺はMが二人いることでパニックになって、「うわぁ」と小声で叫んだ。
(大声を出したつもりだが、実際にはくぐもったような小さい声になった)Mは無言で立ち上がり、部屋をゆっくり歩いて出て行った。やけに無表情だった。
俺の「うわぁ」で起きてもよさそうなものだが、Mは普通に寝ていた。俺は腰が抜けそうな気分だったが、なんとか放心状態の妹を連れ出して別室に連れて行った。
しばらくして妹も落ち着いてきたので、何があったか聞いたが、何がおきたかわからないそうだ。ただ、首をしめてきたのは間違いなくMだったと言っていた。
結局妹はその後寝ないで朝まで俺達の部屋にいた。明け方になって妹が言うには、Mはナンパで知り合ったT君が気に入っていたようだが、T君は妹を気に入ったらしく、そのことで最近Mとギクシャクしていたらしい。
「生霊ってやつなのかなぁ。」と妹は言っていた。
生霊ってよく聞くけど、実際に人に触れて危害を加えることなんてできるのかな、と思った。次の日、起きてきたMに恐る恐る昨夜なにか異変がなかったが聞いたが、普通に寝ていたそうだ。
話してて特におかしいところもなかった。今でもあの夜のことは不思議でしょうがない。