昔、俺の中学で自作ラジオが流行った時期があった。
俺はラジオなんて全然聴かないけど、みんながラジオの話ばっかしてて置いてきぼりにされるのも嫌だから、そういうのが得意な友達に手伝ってもらいながら作った。結局それほどラジオは聴かなかったんだけど、いつだか適当に周波数変えて遊んでたらノイズがいきなりふっと消えた時があった。
あれっと思ってその周波数にもう一度合わせても何も起こらなくて、その時はラジオの調子が悪かったから一瞬電源が切れただけだと思ってた。次の日その事を話したら、友達の中にも同じようなことがあった奴が結構いて、それから呪いのラジオ局を探そうって話に発展した。
少したってから、ある時間にある周波数に合わせると必ずノイズが切れるって噂がでてきて、それは俺が体験したのと大体同じ周波数と時間だった。俺は怖くなってラジオ聴かなくなったんだけど、ただ持ってても意味が無いから手伝ってくれた友達にあげることにした。
そいつは怖い話が好きだったから噂を試したみたいだけど、結局何も起こらなかったらしくてがっかりしてた。噂自体は段々変形してよくある下らない話になり始めて、そのうちみんなも飽きたから呪いの局探しは終わりになった。
それから二ヶ月くらい後の話で、ラジオをあげた友達が青い顔で「本当にヤバい所を見つけた」って言って俺に周波数を書いたメモを渡したんだけど、2,3日後そいつが行方不明になって大騒ぎになった。俺はそのメモを急いで探したけど、結局どこにも見つからなかった。
他にも何人かメモをもらった奴がいたんだけど、やっぱり一枚もメモは見つからなかった。ただ、貰った当日にその周波数に合わせてみた奴の話によるとヤバいも何も普通の地元の放送局だったとの事。
メモの中身とその局の周波数はどう考えても違ったってみんな言ってるし俺もそう思ってるけど、結局なにが正しいのかは分からずじまい。