これは私が大学一回生ぐらいのころです。
当時私は生物部に所属しており、その日は研究のためにマムシを捕獲しようと友人と出かけていきました。夏の夜の草むら蒸し暑く、友人と「マムシいねえな~」とか言いながらどんどん山奥に入っていきました。
その友人は薬学部で、手伝いで私のマムシ取りに無理やり連れてきました。彼は変人で、小学生のころから彼の奇行に悩まされていたのですが、彼にも一つ秀でた才能があります。
緊急時の救命措置や、薬などにとても詳しかったのです。さて、話は戻りますが、私が草むらを掻き分け歩いていると、ふと右足に痛みを感じました。
慌ててライトで足元を照らしてみると、なんと、トグロを巻いた大マムシがいるではありませんか。私は噛まれたと思い、友人を呼びました。
あいにく、ここは携帯電話も通じない山奥で、町まで車でも二時間はかかります。そこで、友人に頼み、適切な処置を施してもらおうと思ったのです。
友人は近くまできてかがみこみ、私の足を見ました。「これを治すツボはここだったかなw」とかふざけていましたが、私は内心とても不安です。
「は、早く治してくれよ!」と私は懇願しました。友人はバックを取り出し、中から塗り薬を、「これを塗れば治るぞ」と言いながらだしました。
私は動転してそんなことで治るのかとか考えるまもなく塗り付けました。塗り終わって、確かに気分がよくなったような感じがしましたが、その瞬間、友人は衝撃の事実を言ったのです。
「この薬で治るけど副作用があるんだ」「え?」「これを塗ると頭がでかくなる。そして尻が死ぬほど痒くなる」そういわれた途端、目と目の間が離れたような、口が裂けるような感覚が広がって、尻が死ぬほど痒くなり、その場で転げながら尻を掻き毟り、叫びました。
そのまま意識がスゥ──っと薄れて、気が付いたら病院のベッドでした。医者の話によると、あと少し救急車が遅れたら危険だったとのことです。
何故かその場に友人はおらず、電話してもそんな場所には行ってないとの事です。いったい私は誰とマムシ取りに行ったのでしょうか、そして誰が救急車を呼んだのでしょうか。
最後にそれから数日は顔が腫れて大きくなっていました。