洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】大波

    2023/09/28 18:00

  • 和歌山の三畳敷でかなりギリギリのところまで行って、波を見物していた。

    まだ中学生のときだったかな。かなり遠く離れたところにいる人がわっと逃げ出したんだ。

    びっくりして振り返ると、まだ遠いんだけど、結構高い波がやってきてた。確実に俺らの呑み込まれる位置ぐらい。

    スゲーあせった。今から走って逃げても絶対間に合わないし、どうしようってオロオロしていたら、弟が、何を思ったのかだーっと海岸のほう、波の近くに走っていくんだよ。

    エッって思って、慌ててあとを追うと、「これ!これにつかまって!」って、三畳敷に一体化して突き出た岩?をギューって抱きしめていた。俺も慌てて真似をして、大きく息を吸い込んで、息を止めた。

    波は大きくかぶった。全身が波に飲み込まれて、そのあと、ものすごい力で沖のほうに戻っていった。

    返り波っていうのかな、真っ白なスープみたいになった波。あれ、ものすごい力だよ。

    例えば海難事故に遭う怪談で、波を無数の小さな手によく喩えられる(ていうか小さい手そのものだったっていうか)ことが多いけど、本当にそう。ひっぱられる。

    ここで手を離したらマジやばいと思って、とにかくもう必死で岩をつかんでた。波がひいたら全身びしょ濡れ。

    そのへんにいた人は飲み込まれた俺らを見て死んだかも!と思ったらしくって、注目の的だった。それにしても海コエー。

    弟いなかったら俺確実に逃げ遅れて死んでたぜ。