中学生のころ、近所にあった原生林のとば口あたりにある古い廃神社に悪ふざけにいったことがあって、これは一部では心霊スポットとの噂が囁かれていたその場所での話。
夏休みのある日、みんなでそこにでかけていって「真夏の夜・絶叫線香花火恐怖怪談ツアー」ってのをやることにしたんだよね。線香花火っていうのは、普通の花火の周りにたくさんの線香を束ねたものなんだけれど。
んで宴もたけなわになって「線香花火」もあらかた尽きはじめたころ、突然視界の隅に空から何かがボトッと落ちてきた。だいたい俺たちから8mくらい離れてたところ?何かと思って見たらそれがカラスで、すごい呻き声をあげながらのたうちまわってる。
いきなりのことに呆然と見てるうちに、カラスは泡を吹いて死んでしまった。近づいて観察してみた限りでは、外傷はなかった。
わけがわからなかった。それでさすがに気味が悪くなって(表面上誰もが「恐怖!」とか盛り上がっていたんだけれど、でも内心誰もが本気で怖がっていたんだろう)それぞれ家に帰ることになった。
んで五人いたうち二人は家の方向が違うから抜けて、残り三人で歩いていたとき、ある普通の家にさしかかった。すると「うぇあ! うぇあ!」っていうような不気味なわめきごえが聞こえてきたので、家の塀に目をやると、ハゲきった変なオッサンがニターッって落語家みたいに目じりを下げて満面の笑みを浮かべて、塀のうえにアゴを載せてこちらを見てた。
まるで生首みたいだった。皆で逃げた。
文章にすると「それだけのこと?」って思われるかもしれないけれど、怖いところで不遜なことをしたあと、こんな変なことが二つ重なったとあっては、物凄い恐怖だった。それから二晩続けてひどい悪夢を見た。