家の父方の家系は『見える』人達が多い。
祖母も見える人だったそうだし、親父もぼんやりと見える時があるそうな。でも一番強く力があるのはおれの妹っぽい。
こいつは中学の時にいきなり『見える』側の人間になっちまったんだが、今日はその時の話をしよう。ちなみに、「その時」妹を迎えにいった母が聞いた話を元にしています。
その日、おれは大学の仲間達と遅くまで遊んで、家に着いたのは10時も過ぎていた。帰ると、いつもは居間でテレビをみている母と妹の姿がない。
何かあったのかと思いながらも、一人でご飯の用意をしていると、母が2階から降りてきた。どうやら2階の妹の部屋にいたらしい。
なんとなく顔がこわばっているような気がして、俺「どしたん?なんかあったん?」母「今日、あの子学校途中で帰ってきたんやけどな・・・。ほら、前から死んだおばあちゃんが夢に出てくるとか言ってたやろ?」俺「あぁ、そんなこと言ってたなぁ」母「それがな、今日学校で・・・」俺の中学校では給食が出るんだが、給食を食べていまから昼休みということで、妹は教室から廊下に出たらしい。
そこでいきなり妹はガバッとしゃがみこんで、「キャァァァァァァアアアアァァァア!!!!!」っと叫びだしたらしい。数秒間叫びつづけた後、ばったり倒れた妹は保健室へと運ばれた。
それからしばらくして連絡を受けた母が駆けつけ、目を覚ました妹に話を聞こうとしたが、目を閉じて震えるばかりで要領を得ない。とにかく連れて帰って、家で寝かしていたという。
それがご飯が出来て持っていったところで何が起こったのか徐々に話出したという。廊下に出た妹は急に眩暈がしてフラついたらしいのだが、目を開けると友達の肩に見たこともない老人がおぶさっていたという。
それがこちらを向いたのだが、顔は焼け爛れ、目が飛び出ていたりと見れたものではない。ほかにも、体が半分朽ち果てた猫や、犬。
あばらが剥き出しの鳥。腕のちぎれた兵隊みたいな人がハッキリ見えたらしい。
実はこの数日前死んだおばあちゃんが夢に出てきて、「びっくりしなや。気をつけるんやで」などといっていたらしい。
おばあちゃんは虫の知らせをしてくれたのだろうか?これ以来家の妹は『見える』人になってしまい、色んなモノをみるのだがそれはまたの機会に。