洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】小豆洗い

    2024/12/25 18:00

  • 友人の話。

    山中の高速道路を走っていた時のこと。腹の具合が悪くなった彼は、最寄りのサービスエリアでトイレに行くことにした。

    無事にトイレに駆け込み、ホッと一息吐いていると。しょりっ しょりっ しょりっすぐ近くから、何かを混ぜるような音が聞こえてきた。

    ゆっくりと米か何かを研いでいるかのような音。自分の他には、誰も居なかった筈だけど。

    後から誰か入ってきたのかな。それにしても妙な音を立てるな、何をしているんだろう?個室のドアを開けて出ると、音はパタッと止んだ。

    トイレには人っ子一人居なかった。背筋が冷えた。

    思わず個室を一つ一つ覗き込んでみた。どの個室も、白い和便器が座っているだけ。

    立ち竦んでいると、どこからか再び「しょりっ」と聞こえてきた。ゆっくりと手洗いに向かい、出来るだけ落ち着いて手を洗う。

    鏡に自分以外は何も映っていなくて、本当に安堵した。彼がトイレを出て行く時も、音は聞こえていたという。

    仲間内でこの体験を話してみると、事も無げに言われた。「あぁ○○のSAでしょ?あそこって小豆洗いが居るよね。

    何人からか話を聞いているよ。SAが出来る前は近くの集落の小川に出ていたらしいけど。

    人が沢山来る方が、小豆洗いも張りがあるのかもな」運が良いなあ、と羨む仲間を尻目に、「妖怪って奴ァ昼間っから出るものなのか?どっちにしろトイレで研いだ豆なんざ、俺ァ口にしたくはないね」彼はそう言って仏頂面をした。