洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】張り付く女

    2023/03/13 09:00

  • 「これ、昨日撮ったんだけど、どう思う?」「えっ?」いつもの昼休み、私は普段あまり親しくしてないS子にプリクラを見せられた。

    「これ…えー?一人で撮ったの?」プリクラには、くそマジメな顔をして正装して証明写真よろしく写ってる、S子。「だって、証明写真よりもこっちの方が綺麗に撮れるし、安いじゃない」「そうだけどさぁ」私はS子のこういうところが何となく嫌いだった。

    ケチで粘着質で短気で、クラスの皆からも嫌われていた。「これで面接受けに行くの?」「そうだよ、あ、でもそれ沢山あるからHさんにもあげるね。

    今プリクラ持ってる?交換してくれない?」「別に、いいけど」結局、そのプリクラが面接に使われることは無かった。S子はその2日後、学校帰りに突っ込んできた車に撥ねられて、死んだ。

    数日経って、私はプリクラを何処かに無くしたことに気が付いた。皆で楽しく撮るはずの写真で、一人緊張したような顔で遺影みたいに写るS子。

    最初は探したけど、「遺影」とか考えると急に気持ち悪くなって、探すのをやめた。どうやらS子は私だけに写真をくれたらしい。

    それが気まずかったけどそのままにして私は布団に潜り込んだ。(掃除でもしてりゃそのうち出てくるでしょ)せ っ か く  あ げ た の に   な ぁ に ―ねっとりした目線を感じて、私はそっと目を開けた。

    暗くて見えづらいけど、押入れの側に誰か、いる。(S…子…!)S子が、押入れの3センチぐらいの僅かな隙間から、白目をむいてこちらを睨んでいた。

    長い髪とうすぺらい体で、ぺらぺらの紙みたいな腕を ふらぁ  と揺らして、こっちに伸ばしてくる。は  ら  な  い   の  ぉ  ―「ゴメンね、ちゃんと探すから、もう、消えてっ!!」私は絶叫して、頭から布団を被って丸くなった。

    耳元で、響くような声が、聞こえる。はらなぃ のぉ ―H 子 ぉ ―気が付くと、朝になっていた。

    ベッドから起き上がって押入れの側に行くと、その下にS子のプリクラが落ちていた。前に見たときよりも表情が硬く、顔色も蒼白になっていた。

    手帳に貼ろうとしたけど、やっぱり気持ち悪くて迷ってたら、友達のA美が遊びに来た。「どうしよう、やっぱりこれ貼らなきゃ駄目?」A美はS子が大嫌いだった。

    「何言ってんの?こんなキモすぎなプリなんて貼ることないよ、貸して」A美は持っていたライターで、その写真を燃やして灰皿に捨ててしまった。「やりすぎなんじゃない?」「大丈夫だよ、まったく最後までネトネトした奴だよねー」A美が帰った後、私は写真の灰を触らないようにしながら、窓を開けて外に灰を飛ばした。

    その夜。今日は寝ないでいようと決めて、私は明後日のテスト勉強の準備をしていた。

    もう写真はないのだけど、ほとぼりが冷めるまでは眠れない。(このまま、寝ないでいれば)MDをガンガンにヘッドフォンでかけながら、問題を解いていると…ブツツッ『ォォォォォぁあアアアつぅういいイイイイ―――』『H 子 ぉ――』「いやぁああああ!!!」S子の声と共に振り向いた先には―――あたしの背もたれに、ぺらぺらになった黒こげのA美が、べったりとくっついていた。