洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】見つめる目

    2023/03/13 18:00

  • 今、フラッシュバックのように急に思い出した体験談を書きます。

    あれは僕が小学生だったころの、暑い夏の夜でした。夏休みということで、いとこが家に泊まりに来ていて、その日は墓場に肝試しをしに行こうという話になりました。

    もちろん親も同伴でした。墓場に到着し、親はこう提案してきました。

    「一番最初に墓地の一番奥の墓石にお線香をあげてきた子に500円あげる。」と。

    当時の僕らにとっては500円はとても大金で、他の子はしり込みしているのにもかかわらず欲深かった僕は率先して墓地へ一人で入っていきました。墓場はそれほど大きくはなく、街中なのでまぁ明るい場所でした。

    すぐに最奥の墓石が見え、一瞬安心した後、心臓が縮み上がる感覚に襲われました。墓石の背後の竹林からこちらを見つめる一つの目。

    そこだけ妙に暗がりがひろがっていて、相手がこちらを見ていること以外の情報は窺えませんでした。僕は当時から無謀な性格だったようで、得体の知れない存在と500円を天秤にかけたところ、500円の方が重かったのでした。

    じりじりと墓石に近づき、竹林に目をやらないように線香をあげ終え、ふと…竹林を見てしまったのです。そこには、先ほどとかわらず誰かがいる。

    近づいた分相手の姿がはっきりと見えてしまいました。竹から1/3ほど顔を出し、こちらを覗いている男。

    恐怖よりも違和感を先に感じました。竹で隠れている部分の面積が、明らかに不自然だったのです。

    隠れている顔の方が、竹よりも幅があるはずなのに、見えているのは1/3だけ……その事実に気付いた瞬間から、記憶がありません。ただ、後で母親に聞いてみたら、僕は別にかわった様子もなく墓地の奥から歩いてきて、「線香あげてきたよ」と一言告げたそうです。