前に住んでいた家のこと。
当時高校生。一見普通の賃貸住宅なんだけど窓に鉄格子がついてる4畳間が一室だけあった。
用途は不明だし日も当たらず狭いし、と文句ナシに不気味な部屋。その家に住むようになってしばらくの間は両親の寝室だったけど私の高校進学時に一人部屋としてあてがわれたのね。
兄弟同室から抜けて一人部屋ってことで狭いながらも一人部屋を謳歌してた。電源を切ってるはずのオーディオが鳴り出すとかテレビがつくとかあったけど、どっかその辺の電波を拾ったんだろうと気にすることもなく(今考えると怖い)、何も問題はなく過ごしてた。
そんなある日、部屋の小さなコタツでゴロ寝してたら音…声というか雑音というか、ハッキリしない何かが聞こえてきた。何だろうと耳をすますとどうもお経っぽい。
男の声で、複数人だった気がする。ウトウトして寝ぼけてるのかと思ったけど声はデカくなる一方、じゃあ近所で葬式が?と考えたけど明らかに部屋から聞こえるしで流石に怖くなって半泣きで部屋から逃げ出した。
家族は留守だったけど、居間でお茶飲んで少ししたら落ちついてきて「あそこはあたしの部屋だ、憩いのひとときを邪魔すんな!」って意気込みで部屋に戻ったんだ。その時はもうお経も聞こえないし、やっぱり何か勘違いだろうと無理やり納得してそれからもその部屋で生活した。
それからはもう不思議なことはなかったよ。で、今は別の家に引っ越して平和にくらしてるんだけど、私の前にその部屋を使ってた母が最近教えてくれたことがある。
「あの部屋で寝てたら変なの出た。ブワーって耳鳴りがして、体動かなくなって。
どうにかして首だけ動かしたら鏡台に女が映ってたのよ、髪の長い女。あとあの家、階段のあたりに男がいたんだよ。
上半身黒で、下半身白い、人間じゃないヒトが」うちの母が見える人だってのはぼんやりと知ってたけどそんなことあったのか、と…。当時聞かされてたらあの部屋を使うなんて怖くて絶対ダメだったろうなあ…と今になってガクブルです