洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】戦友の部屋で

    2024/01/10 09:00

  • 戦時中の話ですが、海軍の軍人さんが戦死した友人の家を訪ねた時のこと。

    故人の家族と色々生前の話で盛り上がり、是非泊まっていってほしいということになりました。旅館をとっていたのですが、是非にということなので甘えることになったそうです。

    案内されたのは戦友の部屋でした。夜中ふと目を覚ますと、体が動きません。

    おかしいな、と思い体の各部を動かしてみたところ、首だけが動きました。首を回してみると、部屋の隅に人影がありました。

    暗闇の中に、白無垢を着た若い女性が座っているのです。しかも、布団がもう一組敷いてあるのです。

    声をかけようとしましたが声が出ません。うつむいているので彼女の表情もよく分からないのです。

    それでも、自分の方をじっと見つめているのは分かります。なんとか体を動かそう、声を出そうと頑張っているうちに、疲れたのかまた眠ってしまいました。

    翌朝目覚めると女性はおらず、敷いてあった布団はきれいに畳まれていました。起き出して家人にそのことを告げると、布団は一組しか敷いていないとのことでした。

    部屋に戻って布団を見せ、女性の話をしました。すると家族は蒼ざめて、戦友に許婚がいたことを話してくれました。

    二人は出征直前に結婚するはずでしたが、戦友は「どうせ死に行く身が、未亡人を残すだけだ」と祝言前日に家を出てそのまま従軍したのだそうです。残された女性は元々体が弱かったこともあり、ショックで病がちになり、程なく死んだのだ、とのことでした。

    そして、遺言により、白無垢を着せられ、戦友の写真を抱いて葬られたとのことでした。同じ海軍の軍服だったから、あなたの側にいて息子の面影を偲ぼうとしたのでしょうか、と家人は言ったそうです。