俺は小4、妹は小3、2人部屋の2段ベッドで寝てた。
部屋にはベッドの横に通路を挟んで机が2つ並んであって、枕元には小さなタンス、その向かいにドア、足元のほうに窓があった。季節はちょうど今くらい、部屋にクーラーがなかったから寝苦しい夜だった。
下のベッドで寝てた俺は、あまりの暑さに目が覚めた。ドアのほうにある掛け時計を見ようと、寝ている体制のまま左を向いた。
暗くてよく見えない。目を凝らしてみてみると、ドアが2、30センチくらい半開きになっていることに気づいた。
影がいた。暗くてよく見えなかったが、暗闇に溶けるように薄暗いドア、その隙間から、それ以上に真っ黒な顔らしきものと、ドアを掴んだ指先らしきものがそこにあった。
そのとき俺は、顔も確認できないその影を妹だと思った。「おい○○!早く寝ろよ!」返事はない、そのなんとも言えないその影とにらみ合った。
すると、突然影が点滅して、消えてしまった。?不審に思った俺はベッドから起き上がって、ドアのほうに向かった。
ドアを完全に開けてみる。誰もいない。
時計をみると、深夜1時すぎ。上の段にも妹は確認できた。
隣部屋で寝ている両親のもとに言ってみる。2人とも寝ている。
「…、寝ぼけてたんかな。」寝起きで頭がボーっとしていたこともあり、それほど深く考えずにベッドに戻った。
そしてまた睡魔が襲ってきた。…。
……。…、目が覚めてしまった。
相変わらずすごい汗をかいている。ただ、寝汗ではない。
それとは種類の異なったいやな汗だ。怖かった。
なぜだかはわからなかったが、恐ろしく怖くなった。みたくない。
みたくない。みたくない。
左の後頭部がしびれるような感覚に陥った。みたくない。
けど、俺は見てしまった。ドアのほうを。
完全に開かれたドア、そこには暗闇よりもさらに濃い影がいた。座っていた。
三角座り、体育座りのようにみえた。視線が動かせなかった、みたくないのに。
頭と思われる所、後頭部からなにかか出ていた。棒状なもの。
…。……、ポニーテール。
上の段で寝ていた妹が寝返りをうった、ベッドが軋む。声を洩らした、その瞬間に影は消えてしまった。